Q56.あなたのデスクはきれいに整理整頓されていますか?

私は時間管理や整理整頓が苦手です。今でも思い出すのは、株主総会リハーサルです。普通上場企業は株主総会に臨む時シナリオや想定問答集を作ります。そしてリハーサルを最低2回はやります。そこには、意地悪な株主を演じる専門家がやってきて、やいのやいのと質問する仕掛けです。

上場一年目の初めての株主総会。みな緊張し万端の準備をします。リハーサルを2回やり、前日は何が起るか分からないので総会会場のホテルに宿泊します。前日は日曜日だったので、私は夜の10時ごろチェックインするつもりで、妻とサーフィンに行っていました。サーフィンの帰り、そのときのCFOの若山さん(女性)から夜の6時くらいに電話がかかって来ました。今どこにいらっしゃいますか?とやや焦っている模様。「今千葉の勝浦にいます。」「・・・・・」しばらく無言、「あのー、株主総会の最終リハーサルで全役員、弁護士の先生や証券会社、事務局も髪林さんを待っているのですが・・?」そうです。この最終リハーサルを私は忘れていたのです。私が総会の司会者なので私がいなければ意味はありません。結局この日のリハーサルに私は欠席することに成りました。この時は深く反省し皆にお詫びしました。

これだけでは、ありません。なんと翌年の2回目の前日リハーサルも忘れてしまったのです。やはり前日は日曜日です。その日2時頃、管理担当役員より電話が入り「今どこですか」と聞かれました。それ以来、開口一番「今どこですか?」という部下からの電話は、私のトラウマに成っています。幸か不幸かそのときを妻と日吉でイタリアンを食べていたので、会場のホテルまで、45分でたどり着きました。そのときは、怒っている人、笑っている人様々でしたが、女性の役員よりこっぴどくしかられました。

私の人生は、時間の間違い、資料の紛失、パソコンのデータの紛失など捜し物やすっぽかしに溢れたものでした。300万円の現金を電話ボックスに忘れたり、妻と二人でバンコックの空港で乗り継ぎの時間を勘違いし大変な目に遭ったりです。また、いろいろな人迷惑をかけてしまいました。毎回引け目を感じ、叱られと本当にお恥ずかしい限りです。

一冊の本が私のゴミ箱の様な頭の中をすっかり掃除してくれました。その本は、リズダベンポートの「気がつくと机の上がぐちゃぐちゃに成っているあなたへ」という本です

それまで、なかなか整理できない自分のために、いろいろな収納法や片付けかたの本を読んできました。いいことも書いてあります。しかし、多くは理論が多く具体性に欠けていると思います。この本は著者が自分で実行しているアイディアが満載で内容は具体的です。よく手帳やカレンダーを仕事用、私生活用など分けることを勧める本もありますが、これがまさに株主総会リハーサルすっぽかし事件の真犯人だったのです。

本書は、乱雑な机は恐るべき人生の浪費であると指摘します。冒頭で紹介されている統計──平均的なビジネスマンは探しものをするためだけに1年間に1500時間を浪費している──はただごとではありません。毎年1か月位をかけて、何かを探しまわっているということになります。膨大な時間の浪費を防ぐために、本書が次の様な具体案を提案します。

①   デスクをコックピットにする(机のものの配置を具体的に提案)

②   毎日の「管制塔」を持つ(手帳について具体的仕様と使い方)

③   書類の”駆けこみ寺”をつく(時間が無く、とりあえずの時)

④   いま!決める(先延ばししない。今決めなければ永遠に決められない)

⑤   つねに優先順位を見きわめる(優先度の低い事は放って置く)

⑥   毎日の習慣(このような事を習慣化する)
また、「6か月以上保存しているもので一度も目を通さなかったものの95%はゴミ」「『あとで』というときは永久にやってこない」などの鋭い指摘。私が思わず安心したのは、「世界的なCEOも時間の75%は書類整理など仕事への準備に費やす」などです。私もかなりの時間を準備にあてていましたので、自分は効率の悪い人間で時間の無駄遣いをしていると悩んでおりました。実は捜し物をする前に、整理整頓に時間を費やしている人の法が効率が良いのです。真にクリエィティブな仕事をする為に整理整頓などの準備に時間を惜しまないことが良い結果をもたらします。

第56章のまとめ

机を片付けられない人は、毎年一ヶ月分の時間を空費している。

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Q55.あなたは自分のメンターといえる人物(知り合いでなくてもいい)をお持ちですか?

メンターとは何でしょう。それは、目に見えるお手本です。知り合いでも知り合いで無くても良い。困った時、決断を迫られた時にその人ならどう行動するだろう思い浮かべる様な人です。

どんな本も、メンターの肉声にかないません。どのようなケーススタディも、メンターの実体験にはかないません。それは、ちょうど車の運転を本だけで学べないように、実際の仕事の中にでも少なからず、本だけでは学べない事があります。

私は、日系2世のアメリカ人をメンターとしてきました。ご本人にはあなたは私のメンターだといったことは無いので、お気づきでは無いと思います。

特に私が見習いたいのは、①物事を大きく考えること。②決して人を傷つけ無いこと。どちらかと言えば、私は、人を傷つけてしまうタイプなので、「こんな場合彼ならどう行動するだろう?」といつも頭に浮かべます。

世の中で成功した人も、それぞれメンターを持っていたようです。

ノーベル平和賞を受賞した佐藤栄作のメンターは吉田茂でした。松下幸之助や稲盛和夫さんのメンターの1人は安岡正篤です。

オバマ大統領のメンターはこの本に登場したエブラハムリンカーンでは無いでしょうか?わざわざリンカーンの使った聖書で就任宣誓をしたのですから。

第55章のまとめ

メンターはかけがいの無い存在。教室や本では教えてくれない事を身をもって教えてくれる。迷った時、彼なら、彼女ならどう行動するだろう、とイメージしてみよう。

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Q53.あたなは、人を許せますか?

「情けは人のためならず」と言う言葉があります。私は、「許しは人のためならず」と思います。

「ゴースト天国からのささやき」という外国ドラマをよく見ます。主人公のメリンダゴードンは霊能者です。出場する霊達は皆誰かに恨みや怒りを持っていて天国に行けないでいます。主人公のメリンダは霊と人間の間に入り、霊が「許しの心」を抱くのを助けます。許した瞬間に天国から光が射しこみ霊はその光の方にすすみ昇天します。

私は、生きている人間も同じと思えます。何かがあって誰かを恨む。恨むには十分な事実がある。しかし、メリンダの霊の様に恨んでいる間は、決して癒されません。恨む事で自分の持つ傷口をさらに悪化させ、他のことに注意が行かなくなるのです。このような状態は本人にとって本当に不幸です。

私は、「恨みや怒り」はネガティブな感情の中でも最悪と思います。それだけ人の心を縛る力がある。社員に大きな影響力をもつリーダーが誰かを恨んだり、怒りの感情を抱いたりすれば、そのネガティブな感情は社内に広がり、社員皆余計なストレスをため込むのです。

誰かにひどいことをされた。その時は許すに限ります。自分の為に。

部下がヘマをした。ヘマだったことは冷静に伝えておくべきですが怒ってはいけません。何人もの部下を持つ人ならいちいち怒っていると身が持ちません。

怒りっぽい人は、その場で怒らずに次の日に部下を呼び冷静にお話するべきです。それと、瞑想をおすすめします。日常生活の中から怒りの感情が徐々に薄まって行きます。(私が体験済です)

第53章のまとめ

恨みや怒りは自分の感情を支配束縛し、心の傷を深くする。許しは傷口を癒し、ネガティブな感情を霧消させる。

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Q52.あなたは、人間が好きですか?

経営者が成功するのに最も大切な資質とは何かという問いに関して私はいつも同じ答えを返します。それは、「人間が好きであること」です。会社の成功不成功は90%が人にまつわる事で決まります。従業員は優秀か、活性化しているか、幸せか、などです。従業員を会社にとっての競争上の最も影響力の大きいアセットと見なし、ここに情熱と愛情を注いで行くのが経営者の仕事です。

逆に人間嫌いの人にとって経営はやや難しい事と思います。このような人は、研究者、科学者、プロ棋士、アスリート、小説家、漫画家、タクシードライバー、大学の先生などいくらでも職業は有ります。

実は、人嫌いの人は意外に多い。あのピータードラッカーですら自分には先見性があるが、実業の世界では成功出来ないタイプで会社のマネジメントは苦手と公言しています。やはり組織を動かす人を目指すなら、人に関心が向かない人では長続きしません。

お釈迦様は6人の弟子に6通りの説法をしたと言われています。相手のレベルによって話す内容を変えたのです。社長にもこの能力が求められます。1人1人に関心を持ちそれぞれのレベルや課題を把握しそれぞれに最適なアドバイスする事が重要です。人嫌いではとても続きません。

では、人間嫌を自覚している人で、会社のマネジメントを担わなければ成らない人はどうすればいいのでしょうか?自分が人嫌いと決定的に思える場合は、直ちに管理職を辞め、研究職や現場の仕事、専門職などに職制を変えるべきです。さもなくば、上司である自分も、部下である若者たちも不幸に成ります。

第52章のまとめ

人嫌いでは、組織をマネジメント出来ない。

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Q51.あなたは、順法精神とフェアネスに関しどういう見解をお持ちですか?

政治家でも経済人でも反則すれすれのところで戦っている人は長続きしません。村上ファンドの村上さん、ライブドアの堀江さん、田中角栄、私が尊敬するリクルート創業者江副さん、エンロン、MCIワールドコム、山一証券、カネボウ、日興證券、雪印、中央青山監査法人、などきりがありません。堀江さんは無罪かもしれない。しかし、反則と思われそうな事をしたのは事実で、冤罪の可能性もあるが、少なくとも起訴されてしまった。この時で実質的にはアウト。誤解を受けない経営の方が効率はいいです。

これに対して、松下幸之助、本田宗一郎、稲盛和夫さん、井深大、森田昭夫、土光敏光、後藤田正晴、フォレンバフェットさん、などは疑われる心配が無い。ルールを守るというお墨付きを人々からもらうために努力してきた人たちです。いまの時代ほど企業経営に透明性を求められる時代はありません。やましいことをしてもすぐにばれるのです。こんな時ほど、遵法精神を持つ方が効率的です。

順法精神は誠実さと近い関係にあり、このことは人から尊敬されるかどうかの分かれ目です。尊敬されなければ人を動かすのにエネルギーを使い、言うとおりにしてくれたとしても、心から納得していない場合、行動に情熱が伴わないものです。

フェアプレイとは、ルールを守りフェアに戦う事です。いつも思い出すのは、オリンピックの山下選手が足を痛めた時の決勝戦です。相手は決してけがをしていた足をねらわなかった。そこを狙って勝っても誰からも尊敬されず、もらう金メダルに価値は無いと分かって居たからと思います。私はよくこの試合の事を思い出しますが、それはこのフェアな相手を思い出すからです。

第51条のまとめ

フェアプレイをしていないと、いつか行き詰まる。ズルは人から尊敬されない。

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ソシュール理論による外国語学習法

英語が全く駄目だった筆者が言語学者であるソシュールにヒントを得て生み出した2年でTOEIC900点をめざせる全く新しいアプローチの外国語取得方法を紹介します。

髪林孝司プロフィール

髪林孝司

髪林孝司:
システム経営コンサルタント
職歴:
株式会社リクルート
(住宅情報事業部)
株式会社テレビ東京
(経理部、営業部、国際営業部、編成部、マーケティング部、イ ンターネット部などを歴任)

2001年
テレビ東京ブロードバンド企画設立
代表取締役社長就任
(主要株主;テレビ東 京、NTT東日本、シャープ、NECインターチャネル、集英社、角川ホールディングス、 小学館プロダクション、DoCoMoドットコム、ボーダフォン)

2005年
同社東証マザーズ上場

2006年
インターエフエム買収
代表取締役社長就任(兼任)
11年連続赤字累損22億の会 社を1年で4000万弱の黒字会社にターンアラウンド

2008年6月
テレビ東京ブロードバンド取締役退任

趣味:
ロードバイク
中華料理(家族の食事は私が作っています)
タブラ(インドの打楽器)