システム思考が社員のやる気を出す。
2010-04-15 (木)日
今自分のしている仕事を楽しいと感じる人の割合はどのくらいでしょう。2008年の調査で「率直に今の仕事は楽しいですか?」と言う質問に対し、10年以上働いている人では、「楽しい」と答えた人は、12.2%に過ぎませんでした。逆に「仕事にマンネリ感を感じたことがあるか」という質問では、7割以上の人があると答えています。(サンプル364,IシェアブログJP調べ)
私のサラリーマン時代は仕事を楽しいと思えた時期と面白くないと思った時期があります。思い返すと「楽しい」と感じた会社は、仕事上の目標がシステム化されていて、システムの範囲内で権限と責任あり、従って創意工夫の余地がある。また仕事の結果は、システムによって自分だけではなく、周囲にも分かる場合でした。「楽しくない」と感じた会社は目標がシステム化されておらず、その都度上司にお伺いをたて、権限もなく責任もないと感じ、また自分の働きぶりが自分にも周囲にもわかりにくい場合でした。
よく仕事上大切なこととして、「ホウレンソウ」すなわち、報告、連絡、相談を挙げる会社があります。一見情報共有をしている良い会社と思われがちです。しかし実はこのような会社の多くはマネジメントシステムの無いので、それを人間関係がカバーしているだけ。行政指導みたいで属人的で曖昧です。このような場合、権限も曖昧で従って責任も曖昧です。
私の先輩たちの世代、特に高度成長期を経験した世代はそれでも良かった。それは責任と権限が曖昧でも会社全体としてまた国全体として結果が認識できた。つまり日本の経済成長と社会発展と言う形で成功を実感できた。
日本は同じ仕掛けを維持して来たにもかかわらず、1990年代から低迷の時代を迎えます。不動産バブル崩壊が低迷の原因のように思われていますが、私はたまたま時代の境目にバブル崩壊が重なっただけと考えています。ではその根本原因とは何でしょう。それは第三次産業革命とも言える、情報社会の到来だと思います。世界経済、特に先進国の役割が製造業から情報業に変化して行かなければならない中、日本は製造業に重きを置いた社会体制を変えず、また企業もホウレンソウのマネジメントスタイルを変えてきませんでした。(野口悠紀夫さん「40年代体制―さらば戦時経済」を読むと、この体制は実は1940年代に作られた戦時経済が元になったそうです。)現代、経営システムを持っていない会社で働いている多くの人は、仕事を楽しいと感じる事が出来ません。
社長の仕事、それは「従業員が仕事に対して、やり甲斐や面白さを感じる事ができる環境を作ること」の一点に集約されると思います。それには、会社にシステムを作り込むこと。従業員が権限と責任を実感し、大いにやり甲斐を感じながら仕事に没頭出来る「仕掛け」を社内に作り込むこと。
そしてそのような取り組みは社員ひとり一人のスキルと精神、両面の成長に直結し、会社全体の創造性を高めます。大きな付加価値を作り出す組織をつくります。社員全員が「仕事は楽しい」と思える会社。人生の時間で最も長く過ごす「働く時間」、この時間を充実したものに出来るシステム作り。これこそが社長の唯一の大切な仕事と思います。
2010年6月1日 著者記す