Q28.社長は、財務の知識をどの程度深くご存じですか?たとえば、ROIについて説明出来ますか?

経理に疎い社長と経理専門家のCFOと言う組み合わせの会社は多いです。しかし、社長が全く経理の事を見ようとせず、財務経理関連の事はCFOに丸投げする。この状態はきわめて危険です。

その場合、社長の視線は営業やマーケティングなどお金を使う方に向きがちで、それをCFOが経費削減の視点から諫めることになります。この議論はお互い違う視点なので平行線です。最後は社長が決める事が多いので、このような会社は放漫経営に陥り安い。それより経理の専門家が社長で営業畑出身は副社長などの方がマシと思います。

経営に経理はなぜ必要か?単純な質問ですがこれに答えられる経営者は意外に少ない。答えは「経理財務の知識を通じてでしか経営の実態を見ること(可視化)」が出来ない。つまり経理財務の知識が無ければ、自分の会社がどのような姿をしているか分からないのです。

「経理」、「財務」と書きましたが、実はこの二つは似て非なるものです。経理は決算諸表など対外的に発表する資料を作成すること。メリットは経理の勉強をした人には、会社が儲かっているかどうかわかりやすい。ディメリットは、減価償却など貸借対照表の資産に当たる部分の評価次第で利益が変わってしまう。つまり粉飾が可能な事。

財務は主に現金の動きを追います。メリットは経理と違いお金の流れに解釈をはさむ余地は有りませんので、正確です。ディメリットは、短期間では、会社が儲かっているかどうかわかりにくい事です。お金の流れをキャッシュフローと言いますが、ROI(Return of investment)と言う概念を使えば、キャッシュフローだけでも、会社が儲かっているかどうかはっきり分かります。ROIは財務の数字が基本ですので、「正確」。そして「可視化出来る」と一石二鳥です。

第28章のまとめ

社長に経理や財務の知識が無いのは、会社が視覚を失った様なもの。自分の姿や周りの景色が分からない。ROIは正確で可視化が可能。

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Q27.社長は、間違いを直に受け止め、反省することができますか?

26章でマネックスの松本大さんの言葉を借りて、「どんなに判断力のある人も、打率はせいぜい6~7割」残りは自分一人だと間違うと言うことを見てきました。

さて、周りに優秀な人が集まり、リーダーが自分の間違いに気づいたとします。実はここからが大切なところです。対応の仕方にいくつかの選択肢が有ります。

①   自分が正しいと意固地になる

②   自分も最初からそう考えていたと話しをすり替える

③   自分の間違いに触れずに話を先に進める

④   なるほど、と一言言って話しを先に進める

⑤   自分が間違っていたことを素直に認め、話を先に進める

⑥   自分が間違っていた事を指摘してくれた人に感謝し、皆の前でお礼を言う

⑦   経営陣へアドバイス、批判(攻撃的なものも含め)、直言を会社として推奨し報償制度を作る。

⑧   相手の間違いに感情を交えずアドバイス出来る社風を作る

⑨   自分の考えに対し、常に第三者の意見を傾聴し、自分の考えを微調整する社風、習慣を会社全体が身につける

打率を100%に限りなく近づけるのには、意見修正の仕掛けを制度化し、社風にまで昇華させることが重要です。いわゆる「風通しのいい会社」になります。そのためには、リーダーは率先して他に意見を求め、自分を改める習慣を身につける事が大切です。

私は、ラジオ局の再建をかなりハードに行いました。当時の仲間とたまに飲む事が有りますが、彼らから私が一つだけ褒められるのは、「昨日まであんなに主張していたのに、A君の意見を聞いたら、恥も外聞もなくコロッ意見が変わってしまった」と言う点です。

第27章のまとめ

自分の意見を修正するための仕組みを社内に構築せよ。裸の王様の打率はせいぜい6~7割で、これでは会社が持たない。

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ウツの揺り戻し。原因はなんと人工甘味料。

私のウツは、当初の予想とは違い時間はかかったもの比較的順調に回復してきました。もう十分直ったと思ってから2ヶ月程経った時、あたかもウツが再発したのではないかと思わせる程の揺り戻しがありました。久々に、布団に横たわってしまいまいました。よくウツの本には、良くなったても揺り戻しがあると書いてあったので、一度は受け入れました。しかし、どうもおかしい。原因となるような事が見あたらないのです。

仕事で無理をしたわけでもない、何か悩みがあるわけでもない。そこで体調が悪くなる前と後で生活の変化を考えてみました。じっくり考えると、一つ思い当たることがありました。それは、味の素が発売している、人工甘味料のパルスィートです。これは、アスパルテームという物質で、インターネットで調べると、大量にとるとセロトニンが減少すると記述がありました。これが原因だったのです。私は、ダイエットの為にと料理に入れたり、コーヒーに入れたりとしていました。それほど大量に飲んだわけでは無いですが、生活の唯一の変化でしたので、インターネットで調べてどんぴしゃりで驚いた次第です。このような食品が普通に売られていることはウツの人にとって本当に怖いと思いました。

アスパルテームは、ダイエットコーク、発泡酒など多くの減糖飲料にも少なからず含まれています。発泡酒の販売高とウツによる自殺者の数に相関関係があると研究している人もいます。また、薬の認可の課程も不透明なようです。興味のある方はネットで調べて見てください。

一般の人には、問題が無くともウツを経験した人は敏感に反応するようで、あの苦しみがまた襲って来ると思うと怖いです。あー気がついて良かった・・・と心から思います。

pal

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Q26.社長は、反対意見を言う誠実な、部下をお持ちですか?

仮に会社の利益や正義と自分の昇進が天秤にかかったとします。

株主(=オーナー)は間違いなく会社の利益や正義を支持するでしょう。オーナーは出世する必要がありませんし、会社が儲かってくれるのがいい。また最近は、反社会的な行為は、長い目で見れば結局会社の利益を損なうばかりではなく、会社そのものをつぶしかねないと分かって居るからです。

では経営者と言えば、「本当の経営者」は株主と同じ視点を持ちます。でもオーナーの目線を持たない経営者はそうとも限りません。では、「本当の経営者」の条件ですが、次に挙げる通りです。

文字通り自分がオーナーで社長も自分の場合。この場合は、自分の昇進という点においては、これ以上昇進の必要が無いので会社利益や会社正義を選択します。(ただし、脱税に関しては範囲外です)

では、オーナー以外経営者ではいかがでしょうか?この場合2つに区別する必要があります。一つめは、親会社や大株主、多額の借金を受けている銀行など自分以外に自分の進退を決められる人が居る場合、これはまだある種のサラリーマン的であって、自分の地位の継続という名の出世と会社の利益や正義が反対の方向を向いた時に、利己的な人はたとえば業績不振の場合、粉飾などをして自分の地位を守ろうとしてしまいがちです。

二つめです。親会社が居ない、大株主も居ない、銀行からの借り入れも無い、このような会社の社長は他人に自分の進退をとやかく言われる必要がない。当てはまるかどうかの見分け方は、自分の進退に関しても、そして後継の社長人事に関しても人事権を掌握しているかどうか。

しかし、業績が悪い場合や在任が長くなっても居座ると言う意味では、自分の利益と会社の利益が完全一致しているとは限りません。世の中に、引き際を先延ばしにしたり、任に有りそうもない自分の子孫に後を継がせようとしたりと、晩節を汚す人は少なくありません。

数年前ある雑誌「日本の経営者ベスト居100」という特集が有りました。この中に一人だけ私の知り合いが居ました。マネックス証券の松本大社長です。この特集では、それぞれ社長にとって「大切な事は何か」をインタビューしていました。松本氏のコメントは、「自分は判断力に自信が有るがそれでも6割から7割位しか正しくない。3,4割は判断を間違う。その間違った判断が会社を窮地に追い込むかもしれない。自分は自分の周りに自分と異なる考え方をして、それを指摘してくれる人を経営のシステムとして置く。それが、会社としての判断力を100%に近づける」と。

同じような話を中曽根元首相も言っておられます。中曽根氏は、首相であった87年に、ペルシャ湾への自衛隊の掃海艇派遣をアメリカから要請されました。親米派の中曽根首相(当時)は当時世界一と言われた自衛隊の機雷除去技術を使おうと、閣議に諮りました。何とか閣議を通したい中曽根さんに毅然と立ち向かったのは、当時女房役の後藤田正春官房長官(故人)でした。防衛庁長官と並んで官房長官は国防に関して大きな権限を持っています。また閣議は全会一致が原則です。強行採決も辞さない構えの中曽根首相に対し、後藤田氏は、もしどうしても通したいなら自分を罷免してほしいと延べ、これには中曽根さんもあきらめざるを得なかったそうです。後になり、「あのときは、後藤田さんに救われた。」と中曽根氏は言っています。今と違い国民の感情やアジア諸国との関係を考えると、もし自衛隊派遣を行っていたら、大変な事になっていた、と自身で認めていらっしゃいます。また後藤田氏の葬儀の席で、河野洋平元衆院議長は「自衛隊の海外での武力行使を決して認めない、イラク戦争を間違った戦争と断言する。平和を常に考えるハト派の指導者であり、体制派でありながら少数意見を述べることを決して躊躇しない方だった」と別れを惜しんでいました。このように自分の身を顧みず、会社を思う社員は宝です。

第26章のまとめ

我が身を捨て、会社の為に社長に逆らうような社員を大切にせよ。

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Q25.社長は、会社の業績を四半期ごとで考えていますか、それとも年度で考えていますか?

虫の目、鳥の目という言葉をご存じでしょうか。鳥の目は上空から鳥瞰し全体を見る事です。また虫の目とはミクロな視点で細かく見ることです。両方あってこそリーダーの視点として、経済や産業全体を見渡しながら、自社に何ができるかを現場の視点で考えます。

この考え方は、考えるスパン、つまり時間的な長さにも当てはまります。短期的にものを考えるのと長期的にものを考える、の両方です。

では短期的な視点とは、どのくらいの期間を指すのでしょうか?私は短期にも2種類の期間を設けるべきと考えます。一つは毎日。できれば日次決算を行い経済トレンドが変わっていく際になるべく早く手を打つ。しかし1日で会社の業績を判断するには無理があります。

業績を計るという意味では、3ヶ月(4半期)を目処とします。特にキャッシュフロー重視の会社では一ヶ月程度だと儲かって居るか損しているかわかりにくい。3ヶ月で見るとトレンドがつかめます。

では10年や20年の長いスパンの視点はどうかと言えば、「1980年代までの第二次産業主導経済では意味があったが、1990年代以降の情報産業主導経済では意味がない」私はと思います。ドラッカーが言っているネクストソサエティ、情報主導経済では10年後を考えることに意味は無い。何故なら社会の進化が前に比べ10倍のスピードで進み、10年後に何が起きるかを誰も想像できないからです。

では長期とは何年か?ITの世界で仕事をしてきた私は、最長で3年と思います。3年後はぎりぎり予想できる。後は、時代の変化に備え財務基盤を強くし、その時々で柔軟に対応できる会社にしておく事が重要です。

第25章のまとめ

短期的視点は毎日と3ヶ月、長期の視点は最長3年程度で考えよ。

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Q24.全社員に各位(役員も含む)の給与や企業年金の額を公開するシステムをお持ちですか?

これをやると、社内が嫉妬心や自己憐憫の渦になります。

ただ自分がどの位置に着けているかを知ることは重要です。同じランクの仕事をしている人の年収マップを作り、自分の位置を知らせてあげるシステムを構築するのです。年収マップとは縦軸に管理会計上の指標、横軸に仕事に対する姿勢をとり、全社員を職制別に文字通りマッピングするのです。そして人事担当セクションはその職制に応じたマップを公開します。また仮にAさんの給与や賞与の明細書には、添付資料として縦軸上のAさんの点数、横軸上のAさんの点数を付記するのです。そうすれば、自分の職制に該当するマップ上の星の散らばりを見て、自分の星を見つける事ができます。直感的に自分の課題を知るわけです。

また、私は役員以上の人間は給与を公開すべきと思います。上場会社などは経営の透明性上当然と思いますが、対株主だけではなく、対従業員に関しても公開すべきと思います。

あまり高いと従業員との軋轢を生みますし、あまり安いと社員は自分の将来に夢を見ることができなくなります。最終的に給与を決めるのは社長であることが多いのですが、公開すると決めると逆に自分の給与をあまり低く出来ない。少し前の調べですが、日本の上場会社社長の給与は新入社員の8倍程度というデータがあります。私の知り合いの若者はとても新入社員で私の元居たリクルートに入社しました。給与の良い会社にはいりましたが、入社後リクルート社長の給与を知り、ここで社長になっても自分は満足出来ないと考え会社を辞めて起業してしまいました。

前の章でも申し上げましたが、給与は生活を送る手段であるのと同時に社員のプライドの拠り所でもあります。これは社外へのプライドもありますが、社内でのプライドも重要です。自分の星の位置は自己実現の程度のバロメーターになるのです。このようなシステムを活性化の為に導入することは、システム経営の重要ポイントといえます。

第24章のまとめ

従業員がそれぞれの仕事上の位置を確認できるシステムを導入せよ。現在位置が分からなければ努力にも限界がある。

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Q23.会社の組織構造は縦割り型ですか、それともアメーバー型ですか?

私の働いていたテレビ局に関して思い出すことがあります。私はテレビ局に入社し最初に配属されたのは経理部でした。隣の島は資材部と呼ばれ、ボールペンや消しゴムと行った社内の消耗品を一元的に買い社内に配布するセクションです。その当時、資材部のルールでは毎週木曜日までに伝票でほしい商品を請求し、翌水曜に支給すると行ったものでした。支給時には資材部まで誰かが取りに来なければ成りません。資材部の窓口の人は私のよく知る人で好人物なのですが、窓口業務をし始めたとたんに、神に成ってしまいました。急ぎの支給は一切認めず、伝票の記入ミスも認めず、ずいぶん社内の人を悩ませていました。他の会社もだいたいそうだと後に分かりました。

私は、元々このような管理セクションは、社内サービスセクションと思っていて、文房具などをほしい人はお客さんと思っておりました。しかし、このように担当と役職がついてしまうと、本人は気づかずその権限を最大化して自分の存在意義を見せようとするものなのだと思いました。なにしろこの人は、経理部にいて売り上げ管理をしているときはこのような態度は見せなかったのですから。

官僚組織(ピラミッド組織)はこのように生まれます。購入部、総務部、営業部、生産部など職制別に人間が配属されている会社は、それぞれの権限を最大限にしようと躍起に成ります。第二次世界大戦中の日本陸軍はアメリカには負けてもいいけど、海軍だけには負けたくないと言っていたそうです。

第23章のまとめ

縦割り組織で、自分の職制担当が決まった瞬間、権限が生じる。それぞれの人悪気はなくともその権限を最大化しようと躍起になる。商品別のアメーバー型のシステム経営を導入し、社内で無駄なエネルギーを空費することは避けよ。

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Q22.会社の末端組織(たとえば課、係など)の人数は平均何人位ですか?

「マジカルナンバー7」という言葉をおききになったことがあるでしょうか?「なぜ一週間は7曜日か?」「なぜ虹は7色か?」「なぜ7人の侍か?」などには共通の理由があるのです。私は、この考え方を「超整理法」野口悠紀夫著で初めて触れました。少し調べてみると、元アメリカ心理学会会長でプリンストン大学教授であった認知心理学の祖、ジョージ・ミラーが提唱し定説となった概念でした。

7つまでしか覚えられない

彼は、「人間の短期記憶の容量は約7つまでである」ということを発見しました。

たとえば虹は日本では7色ですが、世界的に見ても七色以上に分類している国はないそうです。アメリカでは六色です。実際の虹はシームレスです。つまり境目がない。しようと思えば十色にも出来るはずなのにしないのは、七つ以上だと一つ一つの色イメージが鮮明にならないからだそうです。

昔は東京の電話番号も7桁でした。その当時は100件近い電話番号を暗記していた人を私は知っています。7桁の時代を知っている人は8桁になってから電話番号を覚えにくくなったと感じている人は私だけでは無いと思います。

また曜日もそうです。もし七曜日の他にたとえば「星曜日」という日があったとして自分で想像してみてください。七つの時には一曜日一曜日ごとに活き活きとした個性があったのに、曜日が一つ増えるだけでなんとなく一日一日のイメージが曖昧になると感じてしまいます。

「七人の侍」は侍たち一人一人の個性を活き活き描くのに最大の数は七人でるのを黒澤監督が知っていたのでしょう。Sコヴィーの名著「七つの習慣」も同様と思います。

少し前、竹下登元首相がまだ生きていたころ、政治の中枢は田中派が握り、今の民主党小沢氏は田中派7奉行の一人に数えられていました。ほかの面々の名前もいまだに私はすらすら言う事が出来ます。奉行が7人だったらです。

会議は出席者が七人までだと一人一人の意見が短期記憶に残り話が深堀されます。しかし、九人、一〇人と数が多くなればブレストなどの会議では話が弾みません。どの意見が誰から発せられたか分かりにくくなるからです。大人数の会議は往々にして単なる報告会になりがちです。

さて会社です。会社組織の末端最小単位をチームと呼ぶことにします。このチーム構成は七人位がちょうどいいと私は思います。ひとりひとりの個性がイメージ出来、議論をするにも深堀ができ、実際の業務でもそれぞれの役割分担を明確にイメージ出来、成果に対する個々の貢献も皆で共有し納得出来るのが7人位までと思います。

7人以上いると使う側と使われる側が出来てしまう。

このようなことは、ヒエラルキーの数にも直接影響します。末端ユニットが7人以上たとえば13人などの場合、この最小ユニットのはずの組織の中にもう一つ階層ができることが少なからずあります。本来最少単位のはずが、その中に使う側と使われる側が出来たのでは、もう一回層ヒエラルキーが増えることになります。

第22章のまとめ

会社の末端組織の人数は7人まで。それ以上では、一人一人の個性が表出しない。議論も活発化しない。

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言語で理解しようとしない。外国語習得の近道。

外国語学習過程において、習得スピードを遅らせるのは、学習初期の段階で意味や、音を母国語に置き換えるという行為です。学習上明らかに害になる行為です。しかし、実は外国語もその外国語の辞書(日本で言う国語辞典)で理解するのは、害にこそなりませんが、外国語の習得という意味では、ややスピード不足をい否めません。

一番良いのは、英語であれば英語圏に住み英語で日常生活、出来ればそこで仕事をすることです。これは、自ら現実として、いろいろなスチューエーションの中に身を置き、そのときに交わされる言葉一言一言がそれぞれのシーンに結びついて行く。これが、言語体験と言われるものです。赤ちゃんが母国語を覚えるときの状況です。

しかし、なかなか渡米のチャンスがないひとはどうすれば良いのでしょう。

答えは、バーチャルな英語環境に身を置く事です。具体的に言えば、自分の好きな映画を一本選び繰り返し見て、音声がなくてもストーリーが解るようになるまで見続けます。その後、英語字幕にして主演か脇役の誰かに自分を置き換え、その人の台詞を丸暗記します。この作業を1年実施すれば、TOEC850点は固いです。ついでに他の人の台詞もよみ聞き取れるようにする。最後には、選んだ人物の代りに自分が演者として感情を込め演じて見るのです。この課程で日本語訛りはかなり取れます。

映画一本を選んだら、浮気しないこと。2本を90%理解するより、一本を99%近く理解する方が効果は上がります。私の場合はフォレストガンプです。浮気はしていませんでした。

そこに出てこない言い回しは?と思う方は多いと思います。しかし、大丈夫そこで使われている言葉以外は使わなければ良いのです。それで十分日常会話は成立します。

映画を使い貴方もバーチャルに外国居住を体験してみてください。そして、意味とシチュエーションを結びつけ赤ちゃんの様に学んで下さい。

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Q21.経営陣と従業員とは中間管理職を介してコミュニケーションしていますかそれとも直接ですか?

さて、次は組織のフラット化に関する話です。ピラミッド型組織では多くの中間管理職を経てお話がトップに行く。これがなぜいけないのか?それは、伝言ゲームの弊害をもろに受けるからです。

人への口頭のみによる伝言は時間を置くと正確に記憶されない。説明に十秒以上かかる情報は2人目で六十%、三人目で三十%しか正しく伝わらないというのが通説です。割に短い文、たとえば「昨日家の白いシャム猫が子猫を4匹生んだ」が口頭だけだの伝聞だと翌日三人目位に話が来るころには、「少し前、誰かの家で、白い子猫が生まれた」とやや曖昧になり、もう少し人数をくぐり、もう数日経つと、「白いペルシャ猫が生む子供の数は四匹くらいだそうだ」などと全然違う意味になってしまったりします。

カトリック教徒はローマ教皇を頂点に三億人の組織です。なんとこの兆大な組織はわずか七階層で運営されています。伝言ゲームを極力排除した形になっています。

会社を見ると千人規模の会社でも七階層以上で運営されている場合が多い。私のいたテレビ局本社の従業員は800人程度でしたが、階層は ①平社員。②主任、③課長、④副部長、⑤部長、⑥局次長、⑦局長、⑧取締役、⑨常務、専務取締役、⑩副社長、⑪社長、⑫会長と何と一二もの階層がありました。何をするにもこの階層順に提案を上の階層の会議に伝言で上げていき、数回の伝言ゲームののち、常務会で審議され決定される仕組みでした。しかしこれは特別ではありません。他のテレビ局も同様。最大手広告会社の電通も同じで、私の予想では世の中にあるごく普通の会社もこのような組織に成っていると思います。

ソフトバンクの人から聞いた話ですが、孫社長は、誰かから報告を受けるとき必ず現場で実際に仕事をしている人間から直接聞くことにしているそうです。管理職から間接的に聞くことを好まないようです。孫社長が説明を受ける光景は、孫社長が大きな部屋の巨大プロジェクタに向かい座っている。説明する人間は、孫社長のすぐ脇に構え説明に入る。という案配だそうです。孫社長は伝言ゲームの非効率性をよく知っていらっしゃるのだと思います。

孫社長は、現場の仕事もよく知っていると思います。それでも直接現場から生きた声を聞きたがる。ましてや現場に精通にていない社長であれば、現場力をつけるためにも「話は現場から直接聞く」に限ります。

伝言ゲームの弊害はいくら言っても言い切れないほどです。現場の人間が創意工夫したことを、できれば社長が直接聞く、そのようなフラットな組織が会社の活力を高め、従業員のやる気を引き出すと思います。

第21章のまとめ

多くの中間管理職をはさむコミュニケーションは、伝言ゲームの罠にはまる。現場に強くない社長ほど、現場との直接のコミュニケーションができるシステムを採用すること。

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ソシュール理論による外国語学習法

英語が全く駄目だった筆者が言語学者であるソシュールにヒントを得て生み出した2年でTOEIC900点をめざせる全く新しいアプローチの外国語取得方法を紹介します。

髪林孝司プロフィール

髪林孝司

髪林孝司:
システム経営コンサルタント
職歴:
株式会社リクルート
(住宅情報事業部)
株式会社テレビ東京
(経理部、営業部、国際営業部、編成部、マーケティング部、イ ンターネット部などを歴任)

2001年
テレビ東京ブロードバンド企画設立
代表取締役社長就任
(主要株主;テレビ東 京、NTT東日本、シャープ、NECインターチャネル、集英社、角川ホールディングス、 小学館プロダクション、DoCoMoドットコム、ボーダフォン)

2005年
同社東証マザーズ上場

2006年
インターエフエム買収
代表取締役社長就任(兼任)
11年連続赤字累損22億の会 社を1年で4000万弱の黒字会社にターンアラウンド

2008年6月
テレビ東京ブロードバンド取締役退任

趣味:
ロードバイク
中華料理(家族の食事は私が作っています)
タブラ(インドの打楽器)