Q31.社長は、マーケティングの勉強をされたことはありますか?

「マーケティングとは、ひとことで言えば何ですか?」先日、ミクシィのマーケティング・コミュニティで、こんなスレッドがありました。それによれば、マーケティングとは、
・売れる仕組みづくりである
・市場に対する働きかけである
・市場とのコミュニケーション活動である
・製品やサービスを消費してもらうための技術である
・お客さまの笑顔をつくる全ての手段
・見込客の創造である
といろいろな表現でかかれておりました。私は全部が当てはまると思います。これらをまとめて言うなら、「会社の管理業務以外のすべての活動」と言っても差し支えないと思います。「営業」もマーケティングの部分集合。「設計」も部分集合。「宣伝」も部分集合です。前章で会社とは投資行為であるとお話しました。これをマーケティングの考えに置き換えて言えば、「金融商品など他の投資行為よりリターンの多い仕組みを考え実践し成果を得ること」がマーケティングです。よくヴァリューチェーンなどと呼ばれます。

マーケティングの考え方は、大きく分けて2つ。W・チャン・キムとレネ・モボルニュー、などが提唱している「ブルーオーシャン」全く新しい市場で競争相手がいない。会社で言えば、マイクロソフト、インテル、シスコシステム、かつてのソニーのウォークマン、今はアップルのI-PAD、バイアグラのファイザー等です。もうひとつは「レッドオーシャン」これは競争市場の事で、マイケルEポーター、フィリップコトラー、イゴールアンゾフなどの本をご一読ください。

社長がマーケティングというシステムを知らなければ、世界経済という荒波でさまようばかりです。
このような人は副社長にはなれても社長にはなれません、

第31条のまとめ

グローバルマーケットというシステムの中で事業をするには、マーケティングの知識は不可欠。

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Q30.社長は、会社の価値算定方法をご存じですか?

丸山学さんの「社長になる力」の中に「会社とは何か(なぜ会社を設立するのか)」という問いが有ります。岩井克人さんの「会社とは誰の物か」を読んでいたので私は、社員から見れば、「労働の場所」、株主から見れば「配当金でキャピタルゲインを得る所」、取引先から見れば「商品を買ってくれるところ」公的には、「税金を払ってくれる所」などいろいろなものと思っていました。

ところが、丸山さんの本のページをめくると、単純明快に「投資物件」と書いてありました。私にとってはこの方がすっきりします。なぜすっきりするのか考えてみると、「労働の場所」「配当金を得る場所」「商品を買ってくれるところ」「税金を払ってくれるところ」などは非常に大切な事ですが、それは投資物件としての会社が設立された後に、それに付随して顕出するものと気がついたからです。会社とは「投資物件である。」私の中で今までもやもやとしていたものが、霧が晴れるようにすっきりした瞬間でした。

「投資物件」とするといろいろな事がはっきりしてきます。「銀行にお金を預ける」、「国債を買う」「社債を買う」「投資ファンドに投資する」「特定の会社の株を買う」「不動産を買う」このような事と比べて、「会社を設立する」の意味や意義を考えなければなりません。よくプロの投資家が進めるのは、インデックスファンドつまり、日経平均やダウ平均に連動して動くファンドの事で手堅く手数料が安い。過去20年の日本の株式の平均利回をとって見ると年率6%位になります。従って、投資物件としては6%位なら会社を設立するのではなくインデックスファンドを持っていた方が「お得」と言うことになります。

ではアントレプレナーとしての「生き甲斐」はどうするのか、と言う人がいるかもしれませんが、この場合起業は諦めて、会社に勤める、とか別の事業で利回りのよい会社を設立するとか考える必要が有りそうです。投資物件として他によりよい利回りの物が有るのに、自分が株主としてまた経営者として利回りの悪い物件(会社)を設立しようとしているなら、それはビジネスではなく、趣味の世界の話と思います。

投資物件として会社設立を考えると、前に触れたROIが会社の指標として優れているのが分かるはずです。投資に対していくらのリターンがあったかの指標ですので。

しかし、これは管理会計上話であって自分満足の世界です。投資家が見たいのは正式発表された会社全体のROIです。昨年と比べ何%会社の株の価値が上昇したのか?インデックスファンドよりは、個別の会社に投資する方がリスクは高いですので、たぶん年率6%で投資家は満足しないでしょう。私の直感は8%以上です。

この会社のすべての価値を前年度と比べるのに一番便利な指数は(特に上場会社は)会社の時価総額です。非上場の会社でも時価総額の計算方法は、純資産方式、類似会社比較方式、DCF方式などいろいろ有ります。ここでは、非上場の会社でよく使われるDCF(Discount Cash Flow)についてお話します。

あなたが年間200万円の家賃収入のあるアパートのオーナーだとします。今、市中金利を仮に3%とすると、このアパートをいくらで売ればよいでしょうか?この考え方は会社を売るときに計算する方法と同じです。DCFが使われる。DCFの基本的考え方はこうです。今の100万円は来年の100万円より価値がある。何故なら今の100万円は来年までに利息が付き103万円になる。従って来年に期日のくる手形100万円を今もらうとすればそれは97万円の価値しかない。つまり、100÷1.03=97これをPV(Pesent Value)つまり現在価値と呼びます。毎年の家賃収入をCFとします。市中金利の3%をRとしますと簡略化して次の数式が成立します。

PV=CF/(1+R)+CF/(1+R)²+CF/(1+R)³+・・・・・・・+CF/(1+R)∞ ・・・ (A)

両辺に(1+R)をかける。

(1+R)×PV= CF+CF/(1+R)+CF/(1+r)²+・・+CF/(1+R)∞ ・・・・・・(B)

(A)  – (B)= PV – (1+R)PV = – CF  PV – PV – RPV = ―CF

―RPV =  ― CF    PV = CF/R つまり200万円の家賃を金利3%で割ったのが年間200万円のアパートの現在価値=売値です。このDCFを基準に会社を経営していくことが重要です。会社の場合アパートの家賃に相当するのが利益です。それも税引き後キャッシュ利益です。1000万円の資本金の会社は税引き後のキャッシュ利益を最低80万円はほしい。年利8%を超えるためです。この数値、出来れば10%を超えたいものです。

この方法は、会社全体でも使えますが、前述したように小さな事業ごとにも管理会計の指数として使えます。また社内で新規事業を立ち上げるとき、果たしてそれにお金を投資すべきかどうかの判断材料に、また既存の事業で利益率が下がっているものに対して、撤退するかどうか判断にも利用出来ます。

リーダー、幹部、また管理部門の人間は、この会社の価値算定を常に頭に置き経営に当たらなくてはなりません。またキャッシュと発生主義ベースの利益との違いや、減価償却の扱いなど、経理財務の基礎知識は必須です。

資本主義の社会で生きているということは、この「利回り」という言葉にすべてが集約されてしまうと言うのが、善し悪しは別として私が最近感じる事です。

第30章のまとめ

会社や事業の正否は利回りで考えよ。利回りで考えるには経理財務の基本知識が必要。

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システム思考が社員のやる気を出す。

今自分のしている仕事を楽しいと感じる人の割合はどのくらいでしょう。2008年の調査で「率直に今の仕事は楽しいですか?」と言う質問に対し、10年以上働いている人では、「楽しい」と答えた人は、12.2%に過ぎませんでした。逆に「仕事にマンネリ感を感じたことがあるか」という質問では、7割以上の人があると答えています。(サンプル364,IシェアブログJP調べ)

私のサラリーマン時代は仕事を楽しいと思えた時期と面白くないと思った時期があります。思い返すと「楽しい」と感じた会社は、仕事上の目標がシステム化されていて、システムの範囲内で権限と責任あり、従って創意工夫の余地がある。また仕事の結果は、システムによって自分だけではなく、周囲にも分かる場合でした。「楽しくない」と感じた会社は目標がシステム化されておらず、その都度上司にお伺いをたて、権限もなく責任もないと感じ、また自分の働きぶりが自分にも周囲にもわかりにくい場合でした。

よく仕事上大切なこととして、「ホウレンソウ」すなわち、報告、連絡、相談を挙げる会社があります。一見情報共有をしている良い会社と思われがちです。しかし実はこのような会社の多くはマネジメントシステムの無いので、それを人間関係がカバーしているだけ。行政指導みたいで属人的で曖昧です。このような場合、権限も曖昧で従って責任も曖昧です。

私の先輩たちの世代、特に高度成長期を経験した世代はそれでも良かった。それは責任と権限が曖昧でも会社全体としてまた国全体として結果が認識できた。つまり日本の経済成長と社会発展と言う形で成功を実感できた。

日本は同じ仕掛けを維持して来たにもかかわらず、1990年代から低迷の時代を迎えます。不動産バブル崩壊が低迷の原因のように思われていますが、私はたまたま時代の境目にバブル崩壊が重なっただけと考えています。ではその根本原因とは何でしょう。それは第三次産業革命とも言える、情報社会の到来だと思います。世界経済、特に先進国の役割が製造業から情報業に変化して行かなければならない中、日本は製造業に重きを置いた社会体制を変えず、また企業もホウレンソウのマネジメントスタイルを変えてきませんでした。(野口悠紀夫さん「40年代体制―さらば戦時経済」を読むと、この体制は実は1940年代に作られた戦時経済が元になったそうです。)現代、経営システムを持っていない会社で働いている多くの人は、仕事を楽しいと感じる事が出来ません。

社長の仕事、それは「従業員が仕事に対して、やり甲斐や面白さを感じる事ができる環境を作ること」の一点に集約されると思います。それには、会社にシステムを作り込むこと。従業員が権限と責任を実感し、大いにやり甲斐を感じながら仕事に没頭出来る「仕掛け」を社内に作り込むこと。

そしてそのような取り組みは社員ひとり一人のスキルと精神、両面の成長に直結し、会社全体の創造性を高めます。大きな付加価値を作り出す組織をつくります。社員全員が「仕事は楽しい」と思える会社。人生の時間で最も長く過ごす「働く時間」、この時間を充実したものに出来るシステム作り。これこそが社長の唯一の大切な仕事と思います。

2010年6月1日 著者記す

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Q29.社長は財務諸表が「対税務署」「対監査人」「対内部」の3種類あることをご存じですか?

私が会社をはじめてまもなくの事です。経理部門を強化しなければいけないと思い、公認会計士と資格を持つ方をCFOに招きました。

私は若い頃にそれなりに経理をこなして来たので、ある程度は分かると高をくくっていました。

彼が着任し数ヶ月経ってからですが、彼からいろいろ月次決算の修正仕分けが出てきたのです。私は、「税務署の指導通りにやっているが何か問題があるのか?」と問うと、彼は、「税務署に出す決算と、会経原則に則った決算は違います」というのです。「それでは2重帳簿にならないのか」と言えば、「いえなりません。」とのこと。税務的には、費用として認められない物でも、最新の会計基準(投資家に業績の開示をする為の基準)則れば費用として落とさなければいけないものが多い。会計では投資家の為に『保守主義の原則』(なるべく早く費用化に努め、見せかけの利益を大きくしない)というのがあり、税務署の考え方とはあわない、との事です。

これからは、投資家保護の為に会計基準に則り決算し、費用化を税務署が認めない項目のみを対税務署向けに修正申告(対税務署にしか使わない)し、税金を払います。これを。「有税償却」といいます。

これは、私にとっては新しい考え方でしたので「そうか対税務署と対監査人とでは財務諸表が違う物になるのか」と納得しました。その後、会社が上場し、私はこの「対監査法人」と言うのが「対投資家」へと言い換える事に、納得感を得ました。

もう一つ対内部とは「管理会計」の事を指します。これの重要さに関しては前に触れましたが、繰り返しここで強調しておきたいと思います。

第29章のまとめ

財務諸表は3種類用意しなければならない。会社に大切なのは社内用。

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ソシュール理論による外国語学習法

英語が全く駄目だった筆者が言語学者であるソシュールにヒントを得て生み出した2年でTOEIC900点をめざせる全く新しいアプローチの外国語取得方法を紹介します。

髪林孝司プロフィール

髪林孝司

髪林孝司:
システム経営コンサルタント
職歴:
株式会社リクルート
(住宅情報事業部)
株式会社テレビ東京
(経理部、営業部、国際営業部、編成部、マーケティング部、イ ンターネット部などを歴任)

2001年
テレビ東京ブロードバンド企画設立
代表取締役社長就任
(主要株主;テレビ東 京、NTT東日本、シャープ、NECインターチャネル、集英社、角川ホールディングス、 小学館プロダクション、DoCoMoドットコム、ボーダフォン)

2005年
同社東証マザーズ上場

2006年
インターエフエム買収
代表取締役社長就任(兼任)
11年連続赤字累損22億の会 社を1年で4000万弱の黒字会社にターンアラウンド

2008年6月
テレビ東京ブロードバンド取締役退任

略歴:
札幌生まれ
趣味:
ロードバイク
中華料理(家族の食事は私が作っています)
タブラ(インドの打楽器)