システム経営BLOG

Q35.社長は、会社の明確な将来像を頭の中に用意していますか?

自分に自信がないと企業経営は成り立たないことを申し上げました。リーダーにとってこの自信とは主に、会社の将来像を実現する事に対する自信です。

そもそも、将来像がなければ自信も生まれようが有りませんので、大を為すことは難しいです。

将来像の持ち方ですが、あまり遠くを見すぎずにせいぜい5年後を考える。大切なのは、それを映像で見る事です。人間の脳は現実の映像と想像上の映像を区別出来ないそうで、将来を見ることが出来れば達成を信じることが出来ます。

そして、もしその映像がディテールまで鮮明で具体的な場合、より達成の確率は多くなります。

私も会社を作った時から、東京証券取引所に行くシーンとか、自分のデスクに飾ってある上場の記念の立て、とかをイメージしていました。そして4年半後に実現したときは、既に確信していた事なので、驚かず上場の儀式を粛々とこなしました。

この映像の効果は100%です。つまり、100%自分を信じることが出来れば、100%実現化します。ただし、100%自分を信じる事が意外に難しい。毎日自己暗示を掛けるのが有効です。

このような事は、いろいろな本に書いてあります。前出のナポレオンヒルの「思考は現実化する」、ロンダバーンの「ザシークレット」、ジェームスアレンの「結果と原因の法則」、中村天風の「成功の実現」「積極的精神」など。きっと古代からある真実だと思います。聖書ですら「求めよ、さらば与えられん」と言っているのですから。(前回クイズの答え;揚げ豆腐=I’ll get off.、猫バック=Nickel back ニッケルで出来た25セント玉だけ返してと言う意味です。)

第35章のまとめ

「求めよ(映像で)さらば与えられん」は神の言葉。皆さん、信じましょう(映像で)。

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Q34.社長は、勉強家ですか?一年に何冊くらいのビジネス書をお読みですか?

本を習慣として読む人とそうでない人には数年で追いつけないほどの差が出ます。私がそれなりに成功出来たのも、本のおかげと断言出来ます。

「ビジョナリーカンパニー」はシステム経営ということを教えてくれました。起業の際、もしこの本に出会っていなかったらと思うと背筋が凍ります。「ビジョナリーカンパニー2」もすばらしい。1を読んだ人なら必ず読みたくなります。

カーネギーの「人を動かす」のおかげで、一人っ子でわがまま、友達も多くない私が、少なくとも仕事上では取引先と仲良くなれました。悩んだ時は彼の「道は開ける」を読みほっとしたのを思い出します。

「7つの習慣」は「人間としてどうあるべきか」の指針を与えてくれました。何度も読み返すべき本です。

バーバラミントの「書く技術・考える技術」は翻訳がイマイチなのですが、内容はすばらしく、トニープサンの「マインドマップ」と併せて読めば、自分で物を考える時、情報を整理するとき、第三者にプレゼンするときなど、情報の扱い方が格段に向上します。

マーケティングを学べた、ポーターの「競争の戦略」、コトラーの様々な著作、さらに競争のないビジネスを生み出す、W・チャン・キム、レネ・モボルニュの「ブルーオーシャン戦略」も見逃せません。

経理に関しては、「稲盛和夫の実学・経営と会計」日経出版文庫が必読書です。経理の神髄を学べるにとどまらず、会社経営の有るべき姿を教えられます。

財務の基本を教えてくれた、森生 明著 「MBAバリュエーション」日経BPと「MBAファイナンス」グロービズなどは、必須書と言っていいでしょう。

あと、少し専門的になりますが、監査法人とお話するための「監査小六法」これは読むと言うより、判断に迷った時に辞書を引くように調べるのに絶好の本です。

ドラッカーはすべておすすめですが、「ネクストソサエティ」は特におすすめです。今世界経済で起こりつつある変革が産業革命であり、そのスピードは前の産業革命時より数段速いのが実感出来ます。また、会社経営でこれから何が利益を生み出すのかを示してくれます。

自分に自信がないと企業経営は成り立ちません。ナポレオンヒルの「思考は現実化する」、ロンダバーンの「ザシークレット」、ジェームスアレンの「結果と原因の法則」、中村天風の「成功の実現」「積極的精神」など是非読んでください。書いてある事はポジティブシンキングについてですが、多くの人が同じ事を言っている事に驚きます。

これから起業する人には、マイケルEガーバーの「はじめの一歩を踏み出そう」が大変参考になります。職人のまま社長になると、どういう目に遭うかを具体的に示しています。

会社オーナーを目指す人は、ロバートキヨサキの「金持ち父さん、キャッシュフロークアドランド」がいいと思います。この本はサラリーマンを辞める勇気を与えてくれます。

もし私がこのような本と出会っていなければ・・・、もうコメントすら出来ません。

もしこれらに書いてある事を、本と言うガイドなしに自分の経験だけで得ようとすれば、寿命は最低でも500年は必要です。

第34章のまとめ

生きている間に何かを成し遂げたいなら、先人や他人に学ぶのが効率的。人生は短い。読書せよ。

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Q33.社長は、すべての契約書を隅から隅まで読み込んでいますか?

私は、社長時代に契約書で2回ほど手痛い思いをしています。契約書をしっかり読み込んでおけば防げていたはずです。

一つめは、アメリカのセサミストリートの制作会社及びライツホルダーの「セサミワークショップ」が相手でした。テレビの放送権とセットでマーチャンダイジングなどオールライツを獲得しました。テレビ放送が終わった場合のマーチャンダイジングのロィヤルティ計算方法について契約書に曖昧な部分があり、結果日本サイドは予定外の支払いをしなければ成らなく成りました。交渉の大詰めまで私が中心人物だったので、責任は重いです。1億3千万円ほど損しました。

もう一つは、ラジオ局のM&Aの際にM&Aに関するフィナンシャルアドバイザー業務を委託した会社が相手でした。先方の依頼で契約書の終わりにある一文が追加されて入れ、結果報酬を2000万円ほど多く支払う羽目に成ってしまいました。

両方とも相手が外国人で契約書が英語で書かれていました。しかし、契約書の英語は実はわかりやすく、私レベルでも十分に理解出来ます。これらの時は、読み込みは十分とはいえなかったと反省しています。

話は変わりますが、友人などの借金の保証人に成り大金を失う芸能人がいます。彼らは、保証人の意味をしっかり理解していなかっただけでなく、そもそも契約とは何かを理解していなかったのでしょう。

経営者は交わされる契約書に可能であればすべて目を通すべきです。しかし件数が多い場合、なかなか身を入れてすべての契約書を読み込むのは難しい。そのような場合、顧問弁護士や社内の法務セクションで一回フィルターを掛け、例えば1000万円以上の契約に関しては社長と役員が目を通すなど、捺印までのプロセスをシステム化すべきです。私の会社ではサイボウズというスケジュール管理のASPサービスに付随している稟議決済機能を使いました。

第33条のまとめ

契約書にしっかり目を通さずに印を押たり、サインをしてはいけない。契約書を安易に考える会社はいつか痛い目を見る。

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Q32社長は、営業ができますか?

営業とは何でしょうか?靴の減る仕事、毎日でも通い続ける。営業は足で稼げ、などいろいろに言われています。私もそう思っていました。私の友人で和田創研代表の和田創さんのセミナーを聞くまでは。

このセミナーは目から鱗でした。高度成長時代は需要が供給を上回っていたので、このように足を運べばたまたまその商品をほしがっている会社に出会うかもしれない。つまり「確率の営業」、また「出会い頭の営業」が成り立った。しかし21世紀の成熟時代には、商品はコモディティ化し性能や価格では競争が出来なくなったとのことです。つまり需要が顕在化していた時代から、需要が潜在化する時代に我々はいると教えてくれました。このような時代に確率の営業や出会い頭の営業は効率が非常に悪くなった。

ではどのように営業するかと言えば、「顧客の問題課題を見つけ出し、それを解決するソリューションを考え提案する。提案の中に自社商品が組み込まれており、提案が採用されれば、自然に自社製品は売れる」と言うことです。営業のシステム化です。

私はテレビ局の営業部門に新設されたマーケティング部門にいたとき、社内での講演に来てもらいました。親会社の新聞社も和田さんを招聘し高い成果を上げたと聞いております。

高度成長期を経験し、それなりの実績を残している社長ほど、危険です。昔のやり方を押しつける。足で稼ぐ営業をさせ、システマチックな営業を評価しません。これでは、自社製品は売れないのです。

第32章のまとめ

昔風の足で稼ぐ営業の時代は終わった。これからは、顧客の課題や問題点を聞き出し、それを解決するソリューションを提案し、そのソリューションの中に自社製品を組み込み、ソリューションごと自社製品を販売する時代に突入している。

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Q31.社長は、マーケティングの勉強をされたことはありますか?

「マーケティングとは、ひとことで言えば何ですか?」先日、ミクシィのマーケティング・コミュニティで、こんなスレッドがありました。それによれば、マーケティングとは、
・売れる仕組みづくりである
・市場に対する働きかけである
・市場とのコミュニケーション活動である
・製品やサービスを消費してもらうための技術である
・お客さまの笑顔をつくる全ての手段
・見込客の創造である
といろいろな表現でかかれておりました。私は全部が当てはまると思います。これらをまとめて言うなら、「会社の管理業務以外のすべての活動」と言っても差し支えないと思います。「営業」もマーケティングの部分集合。「設計」も部分集合。「宣伝」も部分集合です。前章で会社とは投資行為であるとお話しました。これをマーケティングの考えに置き換えて言えば、「金融商品など他の投資行為よりリターンの多い仕組みを考え実践し成果を得ること」がマーケティングです。よくヴァリューチェーンなどと呼ばれます。

マーケティングの考え方は、大きく分けて2つ。W・チャン・キムとレネ・モボルニュー、などが提唱している「ブルーオーシャン」全く新しい市場で競争相手がいない。会社で言えば、マイクロソフト、インテル、シスコシステム、かつてのソニーのウォークマン、今はアップルのI-PAD、バイアグラのファイザー等です。もうひとつは「レッドオーシャン」これは競争市場の事で、マイケルEポーター、フィリップコトラー、イゴールアンゾフなどの本をご一読ください。

社長がマーケティングというシステムを知らなければ、世界経済という荒波でさまようばかりです。
このような人は副社長にはなれても社長にはなれません、

第31条のまとめ

グローバルマーケットというシステムの中で事業をするには、マーケティングの知識は不可欠。

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Q30.社長は、会社の価値算定方法をご存じですか?

丸山学さんの「社長になる力」の中に「会社とは何か(なぜ会社を設立するのか)」という問いが有ります。岩井克人さんの「会社とは誰の物か」を読んでいたので私は、社員から見れば、「労働の場所」、株主から見れば「配当金でキャピタルゲインを得る所」、取引先から見れば「商品を買ってくれるところ」公的には、「税金を払ってくれる所」などいろいろなものと思っていました。

ところが、丸山さんの本のページをめくると、単純明快に「投資物件」と書いてありました。私にとってはこの方がすっきりします。なぜすっきりするのか考えてみると、「労働の場所」「配当金を得る場所」「商品を買ってくれるところ」「税金を払ってくれるところ」などは非常に大切な事ですが、それは投資物件としての会社が設立された後に、それに付随して顕出するものと気がついたからです。会社とは「投資物件である。」私の中で今までもやもやとしていたものが、霧が晴れるようにすっきりした瞬間でした。

「投資物件」とするといろいろな事がはっきりしてきます。「銀行にお金を預ける」、「国債を買う」「社債を買う」「投資ファンドに投資する」「特定の会社の株を買う」「不動産を買う」このような事と比べて、「会社を設立する」の意味や意義を考えなければなりません。よくプロの投資家が進めるのは、インデックスファンドつまり、日経平均やダウ平均に連動して動くファンドの事で手堅く手数料が安い。過去20年の日本の株式の平均利回をとって見ると年率6%位になります。従って、投資物件としては6%位なら会社を設立するのではなくインデックスファンドを持っていた方が「お得」と言うことになります。

ではアントレプレナーとしての「生き甲斐」はどうするのか、と言う人がいるかもしれませんが、この場合起業は諦めて、会社に勤める、とか別の事業で利回りのよい会社を設立するとか考える必要が有りそうです。投資物件として他によりよい利回りの物が有るのに、自分が株主としてまた経営者として利回りの悪い物件(会社)を設立しようとしているなら、それはビジネスではなく、趣味の世界の話と思います。

投資物件として会社設立を考えると、前に触れたROIが会社の指標として優れているのが分かるはずです。投資に対していくらのリターンがあったかの指標ですので。

しかし、これは管理会計上話であって自分満足の世界です。投資家が見たいのは正式発表された会社全体のROIです。昨年と比べ何%会社の株の価値が上昇したのか?インデックスファンドよりは、個別の会社に投資する方がリスクは高いですので、たぶん年率6%で投資家は満足しないでしょう。私の直感は8%以上です。

この会社のすべての価値を前年度と比べるのに一番便利な指数は(特に上場会社は)会社の時価総額です。非上場の会社でも時価総額の計算方法は、純資産方式、類似会社比較方式、DCF方式などいろいろ有ります。ここでは、非上場の会社でよく使われるDCF(Discount Cash Flow)についてお話します。

あなたが年間200万円の家賃収入のあるアパートのオーナーだとします。今、市中金利を仮に3%とすると、このアパートをいくらで売ればよいでしょうか?この考え方は会社を売るときに計算する方法と同じです。DCFが使われる。DCFの基本的考え方はこうです。今の100万円は来年の100万円より価値がある。何故なら今の100万円は来年までに利息が付き103万円になる。従って来年に期日のくる手形100万円を今もらうとすればそれは97万円の価値しかない。つまり、100÷1.03=97これをPV(Pesent Value)つまり現在価値と呼びます。毎年の家賃収入をCFとします。市中金利の3%をRとしますと簡略化して次の数式が成立します。

PV=CF/(1+R)+CF/(1+R)²+CF/(1+R)³+・・・・・・・+CF/(1+R)∞ ・・・ (A)

両辺に(1+R)をかける。

(1+R)×PV= CF+CF/(1+R)+CF/(1+r)²+・・+CF/(1+R)∞ ・・・・・・(B)

(A)  – (B)= PV – (1+R)PV = – CF  PV – PV – RPV = ―CF

―RPV =  ― CF    PV = CF/R つまり200万円の家賃を金利3%で割ったのが年間200万円のアパートの現在価値=売値です。このDCFを基準に会社を経営していくことが重要です。会社の場合アパートの家賃に相当するのが利益です。それも税引き後キャッシュ利益です。1000万円の資本金の会社は税引き後のキャッシュ利益を最低80万円はほしい。年利8%を超えるためです。この数値、出来れば10%を超えたいものです。

この方法は、会社全体でも使えますが、前述したように小さな事業ごとにも管理会計の指数として使えます。また社内で新規事業を立ち上げるとき、果たしてそれにお金を投資すべきかどうかの判断材料に、また既存の事業で利益率が下がっているものに対して、撤退するかどうか判断にも利用出来ます。

リーダー、幹部、また管理部門の人間は、この会社の価値算定を常に頭に置き経営に当たらなくてはなりません。またキャッシュと発生主義ベースの利益との違いや、減価償却の扱いなど、経理財務の基礎知識は必須です。

資本主義の社会で生きているということは、この「利回り」という言葉にすべてが集約されてしまうと言うのが、善し悪しは別として私が最近感じる事です。

第30章のまとめ

会社や事業の正否は利回りで考えよ。利回りで考えるには経理財務の基本知識が必要。

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Q29.社長は財務諸表が「対税務署」「対監査人」「対内部」の3種類あることをご存じですか?

私が会社をはじめてまもなくの事です。経理部門を強化しなければいけないと思い、公認会計士と資格を持つ方をCFOに招きました。

私は若い頃にそれなりに経理をこなして来たので、ある程度は分かると高をくくっていました。

彼が着任し数ヶ月経ってからですが、彼からいろいろ月次決算の修正仕分けが出てきたのです。私は、「税務署の指導通りにやっているが何か問題があるのか?」と問うと、彼は、「税務署に出す決算と、会経原則に則った決算は違います」というのです。「それでは2重帳簿にならないのか」と言えば、「いえなりません。」とのこと。税務的には、費用として認められない物でも、最新の会計基準(投資家に業績の開示をする為の基準)則れば費用として落とさなければいけないものが多い。会計では投資家の為に『保守主義の原則』(なるべく早く費用化に努め、見せかけの利益を大きくしない)というのがあり、税務署の考え方とはあわない、との事です。

これからは、投資家保護の為に会計基準に則り決算し、費用化を税務署が認めない項目のみを対税務署向けに修正申告(対税務署にしか使わない)し、税金を払います。これを。「有税償却」といいます。

これは、私にとっては新しい考え方でしたので「そうか対税務署と対監査人とでは財務諸表が違う物になるのか」と納得しました。その後、会社が上場し、私はこの「対監査法人」と言うのが「対投資家」へと言い換える事に、納得感を得ました。

もう一つ対内部とは「管理会計」の事を指します。これの重要さに関しては前に触れましたが、繰り返しここで強調しておきたいと思います。

第29章のまとめ

財務諸表は3種類用意しなければならない。会社に大切なのは社内用。

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Q28.社長は、財務の知識をどの程度深くご存じですか?たとえば、ROIについて説明出来ますか?

経理に疎い社長と経理専門家のCFOと言う組み合わせの会社は多いです。しかし、社長が全く経理の事を見ようとせず、財務経理関連の事はCFOに丸投げする。この状態はきわめて危険です。

その場合、社長の視線は営業やマーケティングなどお金を使う方に向きがちで、それをCFOが経費削減の視点から諫めることになります。この議論はお互い違う視点なので平行線です。最後は社長が決める事が多いので、このような会社は放漫経営に陥り安い。それより経理の専門家が社長で営業畑出身は副社長などの方がマシと思います。

経営に経理はなぜ必要か?単純な質問ですがこれに答えられる経営者は意外に少ない。答えは「経理財務の知識を通じてでしか経営の実態を見ること(可視化)」が出来ない。つまり経理財務の知識が無ければ、自分の会社がどのような姿をしているか分からないのです。

「経理」、「財務」と書きましたが、実はこの二つは似て非なるものです。経理は決算諸表など対外的に発表する資料を作成すること。メリットは経理の勉強をした人には、会社が儲かっているかどうかわかりやすい。ディメリットは、減価償却など貸借対照表の資産に当たる部分の評価次第で利益が変わってしまう。つまり粉飾が可能な事。

財務は主に現金の動きを追います。メリットは経理と違いお金の流れに解釈をはさむ余地は有りませんので、正確です。ディメリットは、短期間では、会社が儲かっているかどうかわかりにくい事です。お金の流れをキャッシュフローと言いますが、ROI(Return of investment)と言う概念を使えば、キャッシュフローだけでも、会社が儲かっているかどうかはっきり分かります。ROIは財務の数字が基本ですので、「正確」。そして「可視化出来る」と一石二鳥です。

第28章のまとめ

社長に経理や財務の知識が無いのは、会社が視覚を失った様なもの。自分の姿や周りの景色が分からない。ROIは正確で可視化が可能。

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Q27.社長は、間違いを直に受け止め、反省することができますか?

26章でマネックスの松本大さんの言葉を借りて、「どんなに判断力のある人も、打率はせいぜい6~7割」残りは自分一人だと間違うと言うことを見てきました。

さて、周りに優秀な人が集まり、リーダーが自分の間違いに気づいたとします。実はここからが大切なところです。対応の仕方にいくつかの選択肢が有ります。

①   自分が正しいと意固地になる

②   自分も最初からそう考えていたと話しをすり替える

③   自分の間違いに触れずに話を先に進める

④   なるほど、と一言言って話しを先に進める

⑤   自分が間違っていたことを素直に認め、話を先に進める

⑥   自分が間違っていた事を指摘してくれた人に感謝し、皆の前でお礼を言う

⑦   経営陣へアドバイス、批判(攻撃的なものも含め)、直言を会社として推奨し報償制度を作る。

⑧   相手の間違いに感情を交えずアドバイス出来る社風を作る

⑨   自分の考えに対し、常に第三者の意見を傾聴し、自分の考えを微調整する社風、習慣を会社全体が身につける

打率を100%に限りなく近づけるのには、意見修正の仕掛けを制度化し、社風にまで昇華させることが重要です。いわゆる「風通しのいい会社」になります。そのためには、リーダーは率先して他に意見を求め、自分を改める習慣を身につける事が大切です。

私は、ラジオ局の再建をかなりハードに行いました。当時の仲間とたまに飲む事が有りますが、彼らから私が一つだけ褒められるのは、「昨日まであんなに主張していたのに、A君の意見を聞いたら、恥も外聞もなくコロッ意見が変わってしまった」と言う点です。

第27章のまとめ

自分の意見を修正するための仕組みを社内に構築せよ。裸の王様の打率はせいぜい6~7割で、これでは会社が持たない。

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Q26.社長は、反対意見を言う誠実な、部下をお持ちですか?

仮に会社の利益や正義と自分の昇進が天秤にかかったとします。

株主(=オーナー)は間違いなく会社の利益や正義を支持するでしょう。オーナーは出世する必要がありませんし、会社が儲かってくれるのがいい。また最近は、反社会的な行為は、長い目で見れば結局会社の利益を損なうばかりではなく、会社そのものをつぶしかねないと分かって居るからです。

では経営者と言えば、「本当の経営者」は株主と同じ視点を持ちます。でもオーナーの目線を持たない経営者はそうとも限りません。では、「本当の経営者」の条件ですが、次に挙げる通りです。

文字通り自分がオーナーで社長も自分の場合。この場合は、自分の昇進という点においては、これ以上昇進の必要が無いので会社利益や会社正義を選択します。(ただし、脱税に関しては範囲外です)

では、オーナー以外経営者ではいかがでしょうか?この場合2つに区別する必要があります。一つめは、親会社や大株主、多額の借金を受けている銀行など自分以外に自分の進退を決められる人が居る場合、これはまだある種のサラリーマン的であって、自分の地位の継続という名の出世と会社の利益や正義が反対の方向を向いた時に、利己的な人はたとえば業績不振の場合、粉飾などをして自分の地位を守ろうとしてしまいがちです。

二つめです。親会社が居ない、大株主も居ない、銀行からの借り入れも無い、このような会社の社長は他人に自分の進退をとやかく言われる必要がない。当てはまるかどうかの見分け方は、自分の進退に関しても、そして後継の社長人事に関しても人事権を掌握しているかどうか。

しかし、業績が悪い場合や在任が長くなっても居座ると言う意味では、自分の利益と会社の利益が完全一致しているとは限りません。世の中に、引き際を先延ばしにしたり、任に有りそうもない自分の子孫に後を継がせようとしたりと、晩節を汚す人は少なくありません。

数年前ある雑誌「日本の経営者ベスト居100」という特集が有りました。この中に一人だけ私の知り合いが居ました。マネックス証券の松本大社長です。この特集では、それぞれ社長にとって「大切な事は何か」をインタビューしていました。松本氏のコメントは、「自分は判断力に自信が有るがそれでも6割から7割位しか正しくない。3,4割は判断を間違う。その間違った判断が会社を窮地に追い込むかもしれない。自分は自分の周りに自分と異なる考え方をして、それを指摘してくれる人を経営のシステムとして置く。それが、会社としての判断力を100%に近づける」と。

同じような話を中曽根元首相も言っておられます。中曽根氏は、首相であった87年に、ペルシャ湾への自衛隊の掃海艇派遣をアメリカから要請されました。親米派の中曽根首相(当時)は当時世界一と言われた自衛隊の機雷除去技術を使おうと、閣議に諮りました。何とか閣議を通したい中曽根さんに毅然と立ち向かったのは、当時女房役の後藤田正春官房長官(故人)でした。防衛庁長官と並んで官房長官は国防に関して大きな権限を持っています。また閣議は全会一致が原則です。強行採決も辞さない構えの中曽根首相に対し、後藤田氏は、もしどうしても通したいなら自分を罷免してほしいと延べ、これには中曽根さんもあきらめざるを得なかったそうです。後になり、「あのときは、後藤田さんに救われた。」と中曽根氏は言っています。今と違い国民の感情やアジア諸国との関係を考えると、もし自衛隊派遣を行っていたら、大変な事になっていた、と自身で認めていらっしゃいます。また後藤田氏の葬儀の席で、河野洋平元衆院議長は「自衛隊の海外での武力行使を決して認めない、イラク戦争を間違った戦争と断言する。平和を常に考えるハト派の指導者であり、体制派でありながら少数意見を述べることを決して躊躇しない方だった」と別れを惜しんでいました。このように自分の身を顧みず、会社を思う社員は宝です。

第26章のまとめ

我が身を捨て、会社の為に社長に逆らうような社員を大切にせよ。

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ソシュール理論による外国語学習法

英語が全く駄目だった筆者が言語学者であるソシュールにヒントを得て生み出した2年でTOEIC900点をめざせる全く新しいアプローチの外国語取得方法を紹介します。

髪林孝司プロフィール

髪林孝司

髪林孝司:
システム経営コンサルタント
職歴:
株式会社リクルート
(住宅情報事業部)
株式会社テレビ東京
(経理部、営業部、国際営業部、編成部、マーケティング部、イ ンターネット部などを歴任)

2001年
テレビ東京ブロードバンド企画設立
代表取締役社長就任
(主要株主;テレビ東 京、NTT東日本、シャープ、NECインターチャネル、集英社、角川ホールディングス、 小学館プロダクション、DoCoMoドットコム、ボーダフォン)

2005年
同社東証マザーズ上場

2006年
インターエフエム買収
代表取締役社長就任(兼任)
11年連続赤字累損22億の会 社を1年で4000万弱の黒字会社にターンアラウンド

2008年6月
テレビ東京ブロードバンド取締役退任

趣味:
ロードバイク
中華料理(家族の食事は私が作っています)
タブラ(インドの打楽器)