Q29.社長は財務諸表が「対税務署」「対監査人」「対内部」の3種類あることをご存じですか?
2010-04-12 (月)
私が会社をはじめてまもなくの事です。経理部門を強化しなければいけないと思い、公認会計士と資格を持つ方をCFOに招きました。
私は若い頃にそれなりに経理をこなして来たので、ある程度は分かると高をくくっていました。
彼が着任し数ヶ月経ってからですが、彼からいろいろ月次決算の修正仕分けが出てきたのです。私は、「税務署の指導通りにやっているが何か問題があるのか?」と問うと、彼は、「税務署に出す決算と、会経原則に則った決算は違います」というのです。「それでは2重帳簿にならないのか」と言えば、「いえなりません。」とのこと。税務的には、費用として認められない物でも、最新の会計基準(投資家に業績の開示をする為の基準)則れば費用として落とさなければいけないものが多い。会計では投資家の為に『保守主義の原則』(なるべく早く費用化に努め、見せかけの利益を大きくしない)というのがあり、税務署の考え方とはあわない、との事です。
これからは、投資家保護の為に会計基準に則り決算し、費用化を税務署が認めない項目のみを対税務署向けに修正申告(対税務署にしか使わない)し、税金を払います。これを。「有税償却」といいます。
これは、私にとっては新しい考え方でしたので「そうか対税務署と対監査人とでは財務諸表が違う物になるのか」と納得しました。その後、会社が上場し、私はこの「対監査法人」と言うのが「対投資家」へと言い換える事に、納得感を得ました。
もう一つ対内部とは「管理会計」の事を指します。これの重要さに関しては前に触れましたが、繰り返しここで強調しておきたいと思います。