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みち草映画批評2「アナと雪の女王」~プロフェショナル 仕事の流儀

ちょうど新作が公開された「アナと雪の女王」の第一作を遅まきながら見た。よくできた映画と思って楽しんだが、どうも感動するとまではいかなかった。

ディズニーでは、脚本の時点で徹底的に調査、マーケティングをして、必勝のセオリーに則って映画を制作するらしい。東京工業大学の統計学の先生に監修を受けたという「面白い映画とつまらない映画の見分け方」という本がある。ヒットした映画の脚本を統計的に分析して、13の共通項を浮かび上がらせたという内容で、このセオリーに従った脚本の映画は面白いし興行的に失敗しないらしい。アナと雪の女王も当てはまっていた。思い出せば、私の好きな映画の一つ「ディナーラッシュ」もこのセオリーに照らして当てはまる。この映画は、料理人とレストランの話で、料理が趣味の私には二重に楽しめる。本のセオリーによれば、面白い映画で困難は二度来なければならず、一度目よりも申告で、その困難には主人公が一人で立ち向かわなければならない。この映画で一度目の困難は親子の葛藤だが、二度目の困難はやくざ店を乗っ取られそうになるというもの。解決の仕方が意外で、爽快である。ご覧されたし。同じ料理人が主人公の映画「幸せのレシピ」は、セオリーの「主人公のピンチは2度なければならない。」から外れていて、そのせいか見終わった後、少し物足りない感じがした。

料理といえば、料理に使う道具も好きで、以前は東京下町の合羽橋によく行った。合羽橋はプロ用の食器、包丁、その他調理器具の店が立ち並ぶエリアで観光客にも人気だ。フランス人のシェフがよく合羽橋に立ち寄り業務用の包丁を買うそうだ。しかし、最近は合羽橋にはあまり行かなくなった。東京青山にある食器屋やデパートなどで開催される陶器市などに行って瀬戸物を買っている。包丁はたくさん持っていて妻にいつも叱られているが、彼女の目を盗んでは銀座の包丁屋で高価な高級品を買っては押入れに隠している。合羽橋には押し入れに隠すような高級品は無い。

友人を招いて家で料理を振る舞うのも大好きである。最近は中華料理を振る舞うが、独身の頃はフランス料理だった。当時スイス人の友人と彼の広い社宅でホームパーティをよく開いた。友人たちに声をかけ、友人たちも「誰に声をかけてもいいよ」といって人を集め、いつも50人くらいの人がやってきた。メニューを作り、材料を買いに行くのも楽しい。仕入れの買い物に行った時、よくそのスイス人の友人から「君は材料を買う時、値段を見ていない」と言われた。確かに自分で満足できる料理を作る為には、食材の値段には糸目をつけてはいなかった。選りすぐりの食器も外せない。もう店だったら、赤字だ。

選りすぐりの食器と言えば、若い頃テレビ局の経理部にいて、銀行に接待されたことがある。日本興業銀行(現;みずほコーポレート銀行)の青山寮というそこは、もともとは加賀藩の江戸屋敷だった所で、加賀藩の殿様が使っていた食器で懐石料理を出す。客は日本酒を飲む時には桶の中に入っている沢山のぐい飲みの中から好きなものを選べる。当時私は、少し大きめの茶碗のようなぐい飲みを選んで酒を飲もうとしたら、中居さんが「お客様がお使いになっている茶碗は、東京都の重要文化財です」と言われて、すっかり酒の味が分からなくなってしまった。

広大な敷地にあるその食事処は、いわゆる店では無いと感じた。というのも、そこは勘定書がない。また暖簾や看板も無い。品書きもなく客は出てくるものを食べる。そして、何しろ加賀藩の殿様が使っていた文化財級の食器で食事する。採算を度外視している。

このような場所はないものかと考えて、同じ匂いのする所が二箇所頭に浮かんだ。一つはもちろん行ったことはないが、行ってみたかったところに北大路魯山人の「星岡茶寮」がある。当時各界の著名人から絶賛された店だったが、ここは結局、魯山人が料理や食器に凝りすぎて経営が行き詰まり、共同経営者の中村竹四郎から内容証明を送られて魯山人は追い出された。なんだか、デザインや完成度に凝りすぎ、周囲との諍いが絶えずにアップルを追い出されたスティーブジョブスみないだな、と思う。

もう一つには、オヒョイさんこと、俳優の藤村俊二さんが青山に開いた「オヒョイズ」で、内装は最初は多くのレストランを手掛けたプロが作ったが、オヒョイさんは満足せずに全部を取り壊して、自然に乾燥した木材をスコットランドから取り寄せて壁材にしたり、一枚板の欅をテーブルにしたりですっかり内装をやり直して店をオープンさせた。今は閉店したようだが、以前一回行ったことがある。内装は渋いとは思ったが、聞いていたほどには関心しなかった。あと、店員のサービスが今一つであった。一緒に行った飲食関係のコンサルタントの友人は「ここはきっと赤字だ。プロの仕事ではない」と言っていた。

その「プロ」とはなんであろうか。答えを考えた時、テレビ番組NHKの「プロフェショナル 仕事の流儀」を思い出す。ラストシーンで、「あなたにとって、プロフェッショナルとは?」と番組が毎回のゲストに聞き、ゲストが自分の思いの丈を語る。大体、仕事を極める、という内容の表現が返ってくる。過去の放送を振り返ると下記のような答えが返ってきていた。

プロ曰く、プロとは、

「技術も心も伴った人。」

「常にベストな判断の出来る人。」

「素人が1000人集まっても一人の人に敵わないという、
圧倒的な力の差のある、技量ノウハウを持ったその一人の人。」

「自分を好きでいられる生き様を貫くこと。自分を偽らないこと。」

「明日のために仕事が出来る人。人のために仕事が出来る人。」

「揺るがないビジョンを持っている人。」

「自分が信じた道をまっすぐひたむきに歩く人。
本当に出来るのかと思った理想が形になる、それを目指して努力する人。」

「夢を描くことが出来、それを実現する力のある人。」

「失敗に失敗を重ねても、それを絶対に忘れないで、次につなげていく人。」

そしてある人はこう言ていた。
「技と情熱。」

確かにどれもカッコいい。しかし私はこのようなコメントに違和感を覚える。広辞苑を引くと「プロフェッショナル」とは「職業的」とある。また、ロングマン現代英英辞典には、Someone who earns money by doing a job, sport, or activity that many other people do just for fun. (仕事やスポーツ他の活動を通じて、お金を稼ぐ人のことで、プロでない人は人はその事を楽しみの為に行う)とある。つまり、日米の定評のある辞書に書いてあるのは、「プロとはお金の為に活動を行う人の事で、楽しみの為に行う人ではない」とある。これは言葉の意味だけをシンプルにとれば、質については問題の外ということになる。そう考えると採算を考えずに楽しみの為に料理を作った私や私の友人はもちろん、スコットランドから壁材を輸入したオヒョイさんや自分で食器を焼いた魯山人もプロではなかったということになる。「プロフェッショナル 仕事の流儀」でプロの多くは、「プロとは質の高い仕事するひと」と答えているがこれは辞書の意味から反れている。

仕事の流儀といえば、S・ジョブズの仕事の流儀は細部まで異常にこだわる姿勢だ。これはビジネスマンというより芸術家の姿勢で、金儲けの為にやっていたとは思えない。マイクロソフトの製品で感動した人を聞いたことが無いが、最初のマッキントッシュやiPhoneを見て感動した人は多いと思う。ジョブスもプロではなかったということか・・・。

「アナ雪」は辞書に照らし合わせて、プロの仕事である。芸術的に高いレベルとは少なくても私は思わないが、興行的に大成功し、莫大な利益をディズニーにもたらした。でも、生前ディズニーの筆頭株主だったジョブスが「アナ雪」をどう評価するか聞いてみたい。

最後に私なりにプロフェッショナルを定義するとこうなる。「プロフェッショナルとは、顧客満足度を下げずに、手を抜く人」

 

 

 

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ソシュール理論による外国語学習法

英語が全く駄目だった筆者が言語学者であるソシュールにヒントを得て生み出した2年でTOEIC900点をめざせる全く新しいアプローチの外国語取得方法を紹介します。

髪林孝司プロフィール

髪林孝司

髪林孝司:
システム経営コンサルタント
職歴:
株式会社リクルート
(住宅情報事業部)
株式会社テレビ東京
(経理部、営業部、国際営業部、編成部、マーケティング部、イ ンターネット部などを歴任)

2001年
テレビ東京ブロードバンド企画設立
代表取締役社長就任
(主要株主;テレビ東 京、NTT東日本、シャープ、NECインターチャネル、集英社、角川ホールディングス、 小学館プロダクション、DoCoMoドットコム、ボーダフォン)

2005年
同社東証マザーズ上場

2006年
インターエフエム買収
代表取締役社長就任(兼任)
11年連続赤字累損22億の会 社を1年で4000万弱の黒字会社にターンアラウンド

2008年6月
テレビ東京ブロードバンド取締役退任

趣味:
ロードバイク
中華料理(家族の食事は私が作っています)
タブラ(インドの打楽器)