Q33.社長は、すべての契約書を隅から隅まで読み込んでいますか?
2010-05-12 (水)
私は、社長時代に契約書で2回ほど手痛い思いをしています。契約書をしっかり読み込んでおけば防げていたはずです。
一つめは、アメリカのセサミストリートの制作会社及びライツホルダーの「セサミワークショップ」が相手でした。テレビの放送権とセットでマーチャンダイジングなどオールライツを獲得しました。テレビ放送が終わった場合のマーチャンダイジングのロィヤルティ計算方法について契約書に曖昧な部分があり、結果日本サイドは予定外の支払いをしなければ成らなく成りました。交渉の大詰めまで私が中心人物だったので、責任は重いです。1億3千万円ほど損しました。
もう一つは、ラジオ局のM&Aの際にM&Aに関するフィナンシャルアドバイザー業務を委託した会社が相手でした。先方の依頼で契約書の終わりにある一文が追加されて入れ、結果報酬を2000万円ほど多く支払う羽目に成ってしまいました。
両方とも相手が外国人で契約書が英語で書かれていました。しかし、契約書の英語は実はわかりやすく、私レベルでも十分に理解出来ます。これらの時は、読み込みは十分とはいえなかったと反省しています。
話は変わりますが、友人などの借金の保証人に成り大金を失う芸能人がいます。彼らは、保証人の意味をしっかり理解していなかっただけでなく、そもそも契約とは何かを理解していなかったのでしょう。
経営者は交わされる契約書に可能であればすべて目を通すべきです。しかし件数が多い場合、なかなか身を入れてすべての契約書を読み込むのは難しい。そのような場合、顧問弁護士や社内の法務セクションで一回フィルターを掛け、例えば1000万円以上の契約に関しては社長と役員が目を通すなど、捺印までのプロセスをシステム化すべきです。私の会社ではサイボウズというスケジュール管理のASPサービスに付随している稟議決済機能を使いました。
第33条のまとめ
契約書にしっかり目を通さずに印を押たり、サインをしてはいけない。契約書を安易に考える会社はいつか痛い目を見る。