2010-03-04 (木)
社員の給与の多寡とは何でしょうか?社員の生活の質や、幸福度に直結するものでしょうか?
ここで私のスイス人の友達のお話をしましょう。彼はスイス生まれでスイスの最高学府を卒業し、アメリカの大学院を卒業しました。アメリカの公認会計士資格CPAを持つエリートです。ドイツ語、スイスジャーマン、フランス語、日本語がほぼ完璧です。卒業してアジアに行きたいと思い、中国か日本か迷ったらしいですが、当時の中国はまだ近代化しておらず、日本を選らんだそうです。彼は日本のスイス銀行に就職しました。当時の年収は7000万円だったそうで、この当時、私は彼と140㎡以上あるアパートをシェアしていました。
その後彼はサラリーマンに嫌気がさし自分で製造業の会社を起業しました。一時は資金繰りに苦慮し貧乏な生活を余儀なくされたそうです。その会社は結局中国の会社に売却し相当な資産を得たそうです。
今彼は六本木ヒルズに住み、車は新車のベントレーオープンタイプ。大のオーディオマニアで自宅にある彼のオーディオセットはどう見ても500万円以上はしそうです。その彼が言うに、貧乏で安アパートに住んでいた頃もそんなに不幸ではなかった。少なくとも今の生活の80%位はエンジョイしていた。たぶん幸福とお金はそんなに相関関係はないのではないか?というお話を聞き、なるほどと思いました。
貧乏とお金持ちの両方を彼ほどの落差で経験した人は少ないと思います。通常のサラリーマンの給与差がこれほど大きいわけではありません。お金は社員の生活の質や、幸福度に直結するものでしょうか?という問いに対して、直結しないというのが、私の直感です。
しかし、私は社員の給与が競争他社より少しだけでもいいから高い方がいいと思います。かなり高いならなおさらいい。なぜなら、それは、社員のメンツに関わることだからです。
社員は自社の善し悪しをはかる物差しとして業界での自社の給与水準を見る傾向にあります。つまり、一流企業か二流企業かを給与の額で推し量るのです。
広告代理店で一番給与のいいのは、電通です。博報堂の給与もいいですが、電通にはかなわない。電通の社員は自分の会社にプライドを持ち、博報堂の社員はプライドは持つが、電通の方が社格は上と考えている人が多いと思います。
私の元居たテレビ局はキー局としては下位でした。それでも給与はかなりよく競合他社と比べても9掛くらいです。いかにいいかと言うことは、雑誌に出ていました。日本の上場企業全体の給与ランキングでなんと13位に位置づけていました。つまり非常に高給の会社です。
しかし、競合他社に比べると、ほんの少しだけ低かった。この少しだけの差のおかげで、自分たちの会社を一流と見ることが難しくなる人がおり、最初からこの会社を1位にするぞという決意を持って仕事に取り組む人が、少なかった。
同じような例では、発行部数では読売や朝日に大きく差をつけられている日経ですが、給与は他の新聞社よりよかった。このことが、「大きさでは一番でないが、給与が一番なので自分たちの会社が新聞社としては一番だと」社員に思わせて居るのだと思います。
給与の多寡は、幸福にはあまり影響を与えないが、員が自分たちの会社が一流がどうかの判断材料になると思います。自分たちの会社の給与が一番という自信が、業績に良い結果をもたらす。この好循環をシステム経営で作り出すのです。
第18章のまとめ
給与は多い方がいい。それは社員の生活のためというより、社員のプライドの為。給与のいい会社に居る社員は自分の会社のことをいい会社として見る。それが好業績につながる。
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