Q17.社長はここ10年、これからの20年のITによる業務の効率化をどう見ますか?
2010-03-03 (水)
ITが仕事に効率化をもたらしたのは否定出来ない事実だと思います。E-mailやインターネットのない世界にはもう戻れる人はいないでしょう。
ITはただ効率化だけをもたらしたのではありません。ITが真にもたらした物は、資本(=工場)の価値の陳腐化です。今まで成功要因であり、同時に失敗要因であった工場(=資本)や工場から生み出される工業製品そのものに競争上の差がなくなってしまった。つまり工業製品はコモディティ化し、工場などハードが持つ競争格差がなくなった。これからの競争優位の源泉は、アイディア、デザイン、エコロジー、ブランド(世界観)など、商品の性能以外の部分にシフトしてくる。つまり、付加価値は性能ではなくその商品が持つ情報にシフトしてきていると言うのです。
ドラッカーは、20世紀の終わりから21世紀前半は工業社会から情報化時代への移行期だと定義しています。生産手段の所有者が工場(=資本家)から、人間の頭脳(個々の知的労働者)へと移りつつあるのです。しかもスピードという点では、工業化にかかった時間を5百年とすると、今回は50年です。経済や社会価値観などがすっかり入れ替わるのに、わずか50年しかかからないというスピード感。
エリヤフ・ゴールドラットというイスラエル人の学者がTOC(theory of constraints )ということを提唱しています。日本語で言うと、「制約条件の継続的改善」ということになります。 簡単に説明すると、事業は工場も含めいろいろな仕事のパーツで出来上がっています。生産性を上げるには、一連のパーツの中で、他のパーツより効率の悪いパーツつまり、仕事のスピードが遅いところ(ボトルネックと呼びます)を探し出しそこを改善するのが全体を早めることになる、ということです。たとえば、工場は何の問題もないのに、材料の仕入れが不十分で本来の生産能力を十分に発揮できないような場合は、仕入が制約要因となります。他のところを向上させても全体にとって意味はなく、この仕入れの改善こそ、まず始めに実施すべき改善点です。
この考え方は普通、主に製造業の工場管理に使われますが、他にも転用できます。国の産業を俯瞰する時にも便利です。先進国の産業全体を見渡すと、今の時代、「工場の効率性=資本金の効率性」がもはや制約要因ではなく、知的労働者の存在が制約要因になり、したがって現代および次世代において、事業としてパフォーマンスを上げるには、この知的労働力を如何に探し当て、その付加価値である知識を自己学習と研修によりいかにして向上させるかが鍵を握っているのです。
この図表にある時代の変化を是非感じ取って下さい。







