Q36.前章にある目標を具体的な行動計画としてシステム化し、はじめの一歩を踏み出していますか?行動計画は、最短距離、つまり直線になっていますか?
2010-05-16 (日)
やる気とは何でしょうか?第8章でスターリンの例を出しました。シベリアに送られ、好きでもない仕事(穴掘り)ですら一度やり始めるとやる気を持ってしまうのが人間です。
この話を別の角度から考えてみます。登山家の野口健さんの体験です。野口さんのお話では、エベレストの山頂を目指した人の1割以上の人が死亡しているそうです。プリンストン大学の調査では、8人に1人が死亡するとのことなので、12.5%となります。いずれにしても非常に危険な賭です。
野口さんが最初にエベレスト登頂を成功させたのは、25歳の時で3回目の挑戦だったと言っています。2回目の挑戦の際、山頂まで残り200メートルのところまで来たそうです。実は、エベレストはこの200メートルが最も危険だそうです。そのとき雲行きがやや怪しくなりました。偶然一緒のところに居合わせたスイス隊は山頂目指して上り始めました。このまま行くべきか、引き返すべきか。野口さんの中ではこのまま山頂を目指すと死亡の確率が少なからず有ることは承知していました。しかし、応援してくれるスポンサー、日本のメディアの反響、自分自身の名誉、そして何より後200メートルのところまで来る課程の努力苦労。この今まで目標を持って苦労してきた事を自分の意志で放棄することは非常に難しい事です。
結局野口さんは、引き返す判断をしました。次のチャンスが有ると無理矢理自分を納得させたそうです。その後の情報によれば、あの野口さんを超えて山頂を目指したスイス隊9名は全員死亡したとのこと。彼らもリスクを知っていたでしょう。このことからも一旦目標を持って苦労し、それを途中で取りやめることの難しさを表しています。
これらの事より導かれるのは、人間は目標を持った時ではなく、実際アクションを取り始めてから本物のやる気が出てくる。ゴールに執着し始める。それを途中で断念するのが難しいほど執着を持つ。
私もFMラジオ局を苦労して買収し、再建を果たしました。2年目には、当初の目的であった、ラジオを使いインターネットでもうける、と言うビジネスモデルに着手するはずでした。つまり登山にたとえると7合目くらいまで来ていた。しかし前述の通り私の読みの甘さで最後までやり通せなかった。この時の私の気持ちは「人生を失った」思いでした。そしてこのことがきっかけとなり、すっかり体調を壊してしまいました。
そう、やる気を出すには、出来れば自分で決めたことを目標にまず第一歩を踏み出す事です。そうして頂上に近づけば近づくほどやる気が倍増してきます。
ただし、見込みが外れてうまくいかない事が判明したときには、引き返さなければならない。引き返さないと会社の場合致命傷を負いかねません。しかし、これはかのスイス隊の様に難しい。
本題に戻ると、目標は設定するだけでやる気は出ない。第一歩を踏み出して始めて本当のやる気がでると言うことです。そこまでをシステム化する。そして、一直線に行きたいと思うのが人情ですが、途中でクレバスがあったり難所を迂回したりとまっすぐには行けないのが現実です。迂回を繰り返しながらも、最終ゴールをイメージし少しでも頂上に近づく努力をする。これが、仕事における目標達成の実態ではないでしょうか?