Q14.社員一人一人は、業務のカイゼンつまりトライアンドエラーを毎日繰り返していますか?また、トライと促進する社内システムをおもちですか?
2010-02-14 (日)
ビジョナリーカンパニー(Jコリンズほか)にある3Mの話を少しさせてください。3Mは元々自動車の板金加工を手がけていたとのことです。ある日社員の一人がおもしろいものを車に貼り付け車に塗装をしているのをほかの同僚が見つけました。今までの塗装は窓やバンパーなど塗料のいらないところをよけて塗るのに高度な熟練を要していました。ところがこの若い男は、塗料を塗らない部分と塗る部分の境界をビニールのテープで覆ってしまい、その上から塗料を塗る方法を思いついたのです。この方法は塗装作業に飛躍的な改善をもたらしました。ただ、それを見ていた別の男の方が会社を繁栄させました。一般消費財としてそのテープを売り出したのです。それがあの「スコッチテープ」です。
彼らの社訓は「To solve unsolved problems innovatively」翻訳すると「未解決の問題を革新的な方法で解決する」ことです。ポストイットも社員が自分で作り使っていた「剥がせる付箋」を見た他の社員が商品化したものです。
皆さん、コカコーラの誕生秘話をご存じですか?もともとは、Vin Marianiというコスタリカ人が考えた医療用カクテルで、ワインとコカの実をブレンドしたものした。コカの実は元々リューマチ痛や高地での高原頭痛などの鎮痛作用の薬でした。つまり麻酔薬としてのコカインが少量入っていたのです。その後、アメリカアトランタの薬剤師であったJohn Pembertonはこれと同様なものをPemberton’s French Wine Coca.と呼んで販売し始めヒット商品になりました。1886年禁酒法によりワインの替わりに独自のシロップを使い合法的な飲み物にしました。19世紀の終わりには、コカイン入りの飲料が禁止されたため、コカの実からコカインを除外することに成功し今のコカコーラの源流になります。
その後、元アトランタ市長で薬局チェーンの経営者Asa Griggs CandlerがこのレシピをPembertonから当時のお金2300ドルで買い取ります。もともと彼は、新薬になりそうなパテントを買い取り商品化するビジネスをしていました。殺菌効果のあるこの飲み物をうがいまたは飲むことにより、除菌用の飲料として販売するはずでした。しかしふたを開けてみると、大人の嗜好品として大成功を納めることになります。
偶然から生まれる商品の方が、ニーズを先取りし、計画的に生まれる商品より数が多い、というのが「ビジョナリーカンパニー」のJコリンズの分析です。
よい製品やサービスを開発するには、マーケティングも大切ですが、偶然も大切です。偶然の商品は、経営者から生まれることは多くない。なぜなら、多くの人がいろいろなアイディアを出し、その中からの偶然の方が断然数が多い。つまり、打席に多く立っていることになります。また大抵の場合、そういう商品は元々の用途と違った商品のはずです。
社員一人一人がトライアンドエラーを繰り返し、射撃でいえば下手でも鉄砲をどんどん撃ち、そのうち「偶然」大当たりが出る。この偶然をねらうには、多くの人数と多くのトライが必要です。
もともと業務の「カイゼン」とは小技の積み重ねが会社の競争力を向上させるという、日本のお家芸です。これはリーダーの仕事ではなく、社員皆の仕事です。また「カイゼン」は生産プロセスに有効なだけではなく、事務仕事のプロセスにも応用できます。
それに加え、「おまけ」としてたまに会社を大きく飛躍させるチャンス(社内ナレッジの商品化)が眠っている。トライアンドエラーは、2度おいしい「イチゴ大福」のようなものです。
黙っていて毎日実験と挑戦を続けられる人は多くないと思います。仕組みやシステムとしてこのトライアンドエラーを社内に作り込むのが社長の仕事です。






