モチベーションBLOG

日本にキリスト教徒が少ないのはなぜか?

最近歳をとって来たせいか宗教に興味がでてきていろいろ勉強を始めた。とは言ってもいろいろな宗教をネットで検索したり、本を読んだり、宗教に詳しい友人の話を聞いたりしている程度でたいしたことはない。そんな中最近、疑問が出てきた。

熱心に信仰しているとは言い難い人が多いとは思うが、日本には仏教徒が多い。平成29年度版「文化庁宗教年鑑」を見ると仏教徒の数は8770万2069人で人口の48.1%%とある。次が神道で8473万9669人、人口の46.5%。キリスト教はというと日本では人口のわずか1%でこれは世界的に異例だ。例えば世界全体を見るとキリスト教はまさに世界宗教で、世界人口の33%と言れているし、先進国では日本以外は全てキリスト教国だ

では、なぜ日本ではキリスト教徒が少ないのであろうか?確かに、秀吉に始まり、徳川幕府もキリスト教を弾圧して来たが、これが原因とも言い難い。例えば韓国では近代になってキリスト教徒は増え、今では人口の30%にのぼるし、共産主義国の中国でさえ人口の10%だ。日本では明治維新後、信仰の自由の時代になってもキリスト教徒増えてはいない。何故なのだろうか?

話は仏教に飛ぶ。アショカ王の時代に一世を風靡した仏教が発祥の地でインドでは廃れてしまった。諸説あるようだが、もともとインドではバラモン教も仏教もインテリ層にしか理解されておらず、大衆は(特に南部は)土着宗教を信じていた。バラモン教は腐敗などで支持を失いそうになり、自変容革しながら土着宗教を取り入れるなど大衆化(分かりやすい)路線を歩みはじめて、ヒンドゥー教としてにインド全土に定着した。

王族やその支持層にのみ信仰されていた仏教は、イスラム教が入ってきて、庇護者であったインドの支配階級が駆逐されると支持基盤を失なった。結果インドでは、民衆に根を下ろしていたヒンドゥー教と新しい支配者の宗教でしかも分かりやすいイスラム教が残った。

何故仏教が日本や南アジアなどで信仰されているかといえば、それはインテリ向けの原始仏教が難解だということで、誰にでもわかる大乗仏教や密教がインドで生まれ、インドでの布教に苦戦した僧侶たちが海を渡って、他宗教に席巻されていない地域に伝えた。大衆仏教が広まった国では、イスラム教やキリスト教、ヒンドゥーが未到来の地域であった。

ここで宗教伝播のキーワードが出てきた。「分かりやすさ」と「先行者有利」ということだ。

冒頭の疑問に戻ると、日本にキリスト教が伝来したのは歴史の教科書に書いてある、1549年フランシスコザビエルによるもので、かなり遅い。日本で檀家が最も多い、浄土真宗の開祖、親鸞が生まれたのが1173年。

同じ時期のアメリカ大陸。コロンブスがアメリカ大陸にたどり着いたのが1494年。北米、南米でキリスト教が一気に広まったのは先行する大衆宗教がなかったせいに思える。

ところで、日本の最大宗門、浄土真宗の教えは「念仏を唱えると、誰もが極楽浄土に行き、成仏できる」と教える。ウーム、一見、どこかで聞き覚えがある。これは「神を信じると、天国に行って永遠の生命をもらって幸せに暮らせる」というキリスト教の教えに似ている。

釈迦の時代の仏教は多分、世間の叱責を恐れずに言うと「瞑想をすると煩悩を追いかけなくて済む様な脳になり(解脱する)、生病老死が気にならなくなるし、もう生まれ変わらずに済む(輪廻のサイクルから解放される)」というものであったと私は思う。これは天国に行くとか永遠の生命などとはほど遠い。いや、もともとの仏教が目指した解脱というのは天国にも生まれ変わらないというものなので、真逆だ。

元来親鸞は「念仏を唱えると、来世は現世のパラレルワールドである極楽浄土という地球に転生し、そこに生まれさえすれば阿弥陀如来がいて全ての人を解脱させる、つまり生まれ変わらずに済むようにしてくれる。」ということで解脱という目標を目指していた点は原子仏教と共通点があったと想像するが、これはまだわかりにくく、当時親鸞の教えを聞いた大多数の人は多分、キリスト教のようなわかりやすい「念仏を唱えると、天国に行って何不自由ない生活を送れる」を、現代風に言えは「酒はうまいしねーちゃんは綺麗なところでのんきに暮らせる」イメージしたのではないかと思う。

話が遠回りになったが、まとめると「先行者有利」と「分かりやすさ」を宗教の伝播力と呼応している考えると日本のキリスト教は、伝来したときはすでに、キリスト教と似ていてしかも分かりやすい、浄土真宗などが広まっていて、キリスト教にはチャンスがなかったのではないかというのが推察である。

up

« | »



book

モチベーションブログ最新のエントリー

アーカイブ



howto

ソシュール理論による外国語学習法

英語が全く駄目だった筆者が言語学者であるソシュールにヒントを得て生み出した2年でTOEIC900点をめざせる全く新しいアプローチの外国語取得方法を紹介します。

髪林孝司プロフィール

髪林孝司

髪林孝司:
システム経営コンサルタント
職歴:
株式会社リクルート
(住宅情報事業部)
株式会社テレビ東京
(経理部、営業部、国際営業部、編成部、マーケティング部、イ ンターネット部などを歴任)

2001年
テレビ東京ブロードバンド企画設立
代表取締役社長就任
(主要株主;テレビ東 京、NTT東日本、シャープ、NECインターチャネル、集英社、角川ホールディングス、 小学館プロダクション、DoCoMoドットコム、ボーダフォン)

2005年
同社東証マザーズ上場

2006年
インターエフエム買収
代表取締役社長就任(兼任)
11年連続赤字累損22億の会 社を1年で4000万弱の黒字会社にターンアラウンド

2008年6月
テレビ東京ブロードバンド取締役退任

趣味:
ロードバイク
中華料理(家族の食事は私が作っています)
タブラ(インドの打楽器)