Q56.あなたのデスクはきれいに整理整頓されていますか?
2010-07-23 (金)
私は時間管理や整理整頓が苦手です。今でも思い出すのは、株主総会リハーサルです。普通上場企業は株主総会に臨む時シナリオや想定問答集を作ります。そしてリハーサルを最低2回はやります。そこには、意地悪な株主を演じる専門家がやってきて、やいのやいのと質問する仕掛けです。
上場一年目の初めての株主総会。みな緊張し万端の準備をします。リハーサルを2回やり、前日は何が起るか分からないので総会会場のホテルに宿泊します。前日は日曜日だったので、私は夜の10時ごろチェックインするつもりで、妻とサーフィンに行っていました。サーフィンの帰り、そのときのCFOの若山さん(女性)から夜の6時くらいに電話がかかって来ました。今どこにいらっしゃいますか?とやや焦っている模様。「今千葉の勝浦にいます。」「・・・・・」しばらく無言、「あのー、株主総会の最終リハーサルで全役員、弁護士の先生や証券会社、事務局も髪林さんを待っているのですが・・?」そうです。この最終リハーサルを私は忘れていたのです。私が総会の司会者なので私がいなければ意味はありません。結局この日のリハーサルに私は欠席することに成りました。この時は深く反省し皆にお詫びしました。
これだけでは、ありません。なんと翌年の2回目の前日リハーサルも忘れてしまったのです。やはり前日は日曜日です。その日2時頃、管理担当役員より電話が入り「今どこですか」と聞かれました。それ以来、開口一番「今どこですか?」という部下からの電話は、私のトラウマに成っています。幸か不幸かそのときを妻と日吉でイタリアンを食べていたので、会場のホテルまで、45分でたどり着きました。そのときは、怒っている人、笑っている人様々でしたが、女性の役員よりこっぴどくしかられました。
私の人生は、時間の間違い、資料の紛失、パソコンのデータの紛失など捜し物やすっぽかしに溢れたものでした。300万円の現金を電話ボックスに忘れたり、妻と二人でバンコックの空港で乗り継ぎの時間を勘違いし大変な目に遭ったりです。また、いろいろな人迷惑をかけてしまいました。毎回引け目を感じ、叱られと本当にお恥ずかしい限りです。
一冊の本が私のゴミ箱の様な頭の中をすっかり掃除してくれました。その本は、リズダベンポートの「気がつくと机の上がぐちゃぐちゃに成っているあなたへ」という本です
それまで、なかなか整理できない自分のために、いろいろな収納法や片付けかたの本を読んできました。いいことも書いてあります。しかし、多くは理論が多く具体性に欠けていると思います。この本は著者が自分で実行しているアイディアが満載で内容は具体的です。よく手帳やカレンダーを仕事用、私生活用など分けることを勧める本もありますが、これがまさに株主総会リハーサルすっぽかし事件の真犯人だったのです。
本書は、乱雑な机は恐るべき人生の浪費であると指摘します。冒頭で紹介されている統計──平均的なビジネスマンは探しものをするためだけに1年間に1500時間を浪費している──はただごとではありません。毎年1か月位をかけて、何かを探しまわっているということになります。膨大な時間の浪費を防ぐために、本書が次の様な具体案を提案します。
① デスクをコックピットにする(机のものの配置を具体的に提案)
② 毎日の「管制塔」を持つ(手帳について具体的仕様と使い方)
③ 書類の”駆けこみ寺”をつく(時間が無く、とりあえずの時)
④ いま!決める(先延ばししない。今決めなければ永遠に決められない)
⑤ つねに優先順位を見きわめる(優先度の低い事は放って置く)
⑥ 毎日の習慣(このような事を習慣化する)
また、「6か月以上保存しているもので一度も目を通さなかったものの95%はゴミ」「『あとで』というときは永久にやってこない」などの鋭い指摘。私が思わず安心したのは、「世界的なCEOも時間の75%は書類整理など仕事への準備に費やす」などです。私もかなりの時間を準備にあてていましたので、自分は効率の悪い人間で時間の無駄遣いをしていると悩んでおりました。実は捜し物をする前に、整理整頓に時間を費やしている人の法が効率が良いのです。真にクリエィティブな仕事をする為に整理整頓などの準備に時間を惜しまないことが良い結果をもたらします。