Q10.数値目標の指数はひとつに絞り込んでいますか?それとも複数ありますか?
2009-11-05 (木)
さて、管理会計の話に戻ります。ここでもうひとつ大切な質問をします。それは「業績を図る指標は一つですか二つ以上ありますか?」です。意外にダブルスタンダード、トリプルスタンダードの会社が多いことに驚かされます。
私の勤めていたテレビ局はダブルスタンダードの典型でした。編成制作部門の人間は視聴率というスタンダードを追い求め、他方営業など収入部門はお金(それも売り上げ)を追う。またそのように会社から求められていました。
ある尊敬する営業の先輩が当時、当たり前のように言いました。「自分はこれから編成局に転出する。今日まで自分の言ってきたことは、異動日になれば完全否定する。」とのことでした。何だかとっても変な気がしました。
テレビ局ではこの「お金」と「視聴率」というものが常に対立していました。お金を儲けるには、若い女性をターゲットにするのが得策ですが、他の局も皆同じターゲットを狙っています。単に世帯の視聴率を上げるには、熟年をターゲットにした方が有利な場合が多いのです。
このようにお互い後ろに抱えている目標が違うのですからそもそも会話は成立しないのです。また視聴率をお金に換算する方法はありますが計算が複雑なのと、個人視聴率と世帯視聴率という数字のどちらかを使うのかでも話が違ってきますので、結果、話は平行線です。
これをたとえば家作りに例えると、「三人の大工がいて、一人はメートル法、一人は尺貫法、一人はヤード・ボンド法(一インチなど)で変換比率が分からない状況を想像して見てください。家はきっと立ちません。
テレビ局のような極端な例は稀かもしれません。しかし普通の会社でも、お金を追っているのか、シェアを追っているのか、はっきりしてなかったり、仮にお金として、それは、売上のことなのか、営業利益のことなのか、経常利益のことなのか、最終利益のことなのか、統一した見解を持たない会社が意外と多いものです。
最近のはやりでいえば、フリーキャッシュフローやROI(RETURN OF INVESTMENT)と営業利益を両用する会社もあります。この2つの財務指標は似て非成るものです。ROIには時間の観念が入って来ます。両用はしばしば混乱を生み出します。
このように、指数が複数あるということは、「自由」より芽生え、「社是社訓」によって強化され、「管理会計における指数」によって継続性を持った肝心要の社員の「やる気」が、社内で分割されてしまうことを意味します。
目標の達成度を測る指標はひとつにすべきです。仮にそれが、売上であれ、地域のシェアであれ、フリーキャッシュフローであれ、とにかく一つにまとめることです。コンピュータを例に取ると、昔はMSDOSというOSの上にパソコンメーカー各社がいろいろなソフトウェアを用意していて、お互いに互換性が無く、仕事で使うには不便でした。またTCPIPという共通の通信言語が開発されるまでは、複数の通信言語がありコンピュータ同士がつながりませんでした。
指標を一つにすることは、社内の頭脳はお互いに一つの言語でつなぎ合わされ、ナレッジは共有され、社員同士が同じ言語で議論出来ます。
業態によって適切な指標はあると思います。たとえばビデオレンタルショップは地域のシェアを指標にしたり、私の友人が経営する飲食チェーンはROIを指標として使っていたりします。大手の商社もここ数年で、ROIを指標として使い始め業績を上げています。複数年を見る場合はIRRなどの指標もよろしいと思います。
私は、指標の分かりやすさも大切と考えています。この件に関しては後の章に譲ります。






