日本語の母音は日本だけでしか通用しない
2010-02-14 (日)
中学校に入って初めて英語を習った時、This is a pen. の発音を発音記号ではなく、日本語のカタカナに置き換えて「ジスイズアペン 」と覚えた方は多いと思います。実はここに、日本人英語の最大の問題が眠っています。
ソシュールの理論を勉強した皆さんは、「そうか、一つ一つの言葉はおのおの事物とセットになっている訳ではないので国によって一つ一つの言葉がカバーする領域が違うのだ」という事を理解していただいた事と思います。つまり、ある言語と別の言語は意味的に繋がっていない、別々のあたかも中に浮いている図書館の様であると。
実は、発音もそうなのです。日本語の「あいうえお」という母音、「かさたなはまやらわ」と言う子音は日本独特のもので日本語にしか当てはまらないのです。国際的に見て日本は母音が少ない方です。日本人が苦手とするRの音とLの音の区別ですが、日本語のラ行の音は英語のRの音ともLの音とも違います。日本語のラ行おとは英語のLの音に比較的似てはいますが、アメリカ人が聞くとハッキリ訛っているのが解ります。また、ラ行の発音は一種類しかないので、日本人はRの音を発音出来ない、またLの音とRの音を区別出来ないのです。これは、フランス人がHの音を発音できない、韓国人がBの音を発音出来ないのに似ています。
また、日本語は子音も少なめです。英語のthの発音は日本語にありません。これは練習するしかない。また、Vの音も日本語にないものです。
もう一つ日本人英語のなまりを挙げると、言葉の最後の子音が有声音になると言うことです。私は札幌出身ですが、札幌の繁華街と言えば「すすきの」です。このすすきの、本州の人が発音すると何か変な感じがしていましたが、最近やっと理由が分かりました。北海道の人はすすきのの2番目のすが無声音、つまり口ではスの音を出しますが声帯は震えていない。本州の人は2つめのすも有声音にしてしまうので北海道の人が聞くと違和感があるのです。
これと全く同じ事が日本語と英語の間にも起こります。日本語は、無声音の発音がほとんどありません。もしくは、有声音か無声音かに関して文法上の決まりがない。これはひらがなが四面で表記されていることを見ても明らかです。なので、日本人が例えばexpense を発音すると最後のsの音を有声音にしてしまうのです。これは、アメリカ人が聞けばかなり訛って聞こえます。
今日の結論、それは「言語間には、意味上の繋がりもなければ音の繋がりもない各々全く別の世界である」英語の発音をマスターするには、発音記号をしっかり覚えそれぞれの音を理解し、発音するための口の形を繰り返し練習することが大切です。