「うつ」の症状
2009-07-04 (土)
「うつ」の症状は様々です。お医者様が書かれたウツの本を読むと詳しく書いてあります。
私の場合は、「アイスピックでどこかを刺された様な心の痛みが永遠に続く」というものでした。一瞬の間なら痛みも我慢出来ますが、ウツがつらいのは「ずっと続く」所にあります。常につらく(痛い感覚と似ている)、それがこの先も続くと思うと絶望するのです。本などにはいつか直ると書いてあります。そこに希望を見出そうとするのですが、現実に今痛みが続いているので、直ると言うことが想像出来なくなります。
また、食欲も湧きません。人は、どこかが本当に痛くそれが続くとき、ご飯を食べられないものだと思いました。性欲もゼロになります。ましてや仕事や他の人生に関する欲求がすべてゼロになり、なにに対しても興味を完全に失います。いやむしろ興味を持つことが苦痛になります。新聞を読むのも苦痛ですし、そもそも理解出来なくなります。テレビはもっと苦痛。家族に話しかけられるもの苦痛。そこいら中に苦痛の文字が散在しているのが「うつ」の現実です。
私は、自分が「うつ」だと解っても仕事を辞めることが出来ませんでした。上場企業の社長は簡単に辞任することはできません。ましてや自分の作った会社で、従業員も自分が雇った人たちです。責任感が自分を許しませんでした。
会社に通いながらの治療が約2年続きました。症状は徐々に悪化し、まわりの人にも気づく人が増えて来ました。医師からも休暇を勧められていた所、株主より体調が悪そうなので、一旦社長を降りてはどうかという打診があり、正直そのときはホットしました。
その後取締役として在籍しながら休暇に入りました。
ところが、休み初めても一向に良くなりません。思い浮かぶのは、会社の事、孤独感などです。妻と二人暮らしをしていましたが、妻が仕事に行き帰って来るまでは一人っきりで、つらい思いをしました。後で妻に効きましたが、子供のように寂しがり自分もしんどかったそうです。徐々に分かり始めたのですが、娑婆(現実社会)の事は一旦すべて諦めて治療に専念することが必要でした。
音にも敏感になります。近所に幼稚園があり、園児達の騒音が耳を刺すように毎朝響きました。中でも、幼稚園の運転手さん兼用務員さんの初老のおじさんが子供とボール遊びをしているときの声が大きく、声が俳優の阿藤快さんそっくりで耳に変に響くのです。毎日阿藤快さんの声を嫌々聞くので、ご本人を嫌いになりそうでした。
あと不眠です。「うつ」になると毎日まったくに眠ることが出来なくなります。精神科のお医者さんに睡眠導入剤を処方してもらってだいぶん楽になりましたが、それでも1-2時間おきに目が覚め、朝方5時頃に目が覚めるともう眠る事が出来ない状況でした。いろいろな睡眠導入剤の組み合わせを試して、半年ほどで朝まで眠ることが出来、昼間そんなに眠気が残らない処方を先生と協力して探しあてました。
まわりの人にこのつらさを解ってもらうのは、非常に困難です。この共感が難しいところも「うつ」のやっかいな所です。